2024年12月23日( 月 )

【凡学一生の優しい法律学】懲りない週刊女性の犯罪的報道

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ネット 老人 イメージ 6月15日付の『週刊女性PRIME(プライム)』記事によれば、小室圭さんの母・佳代氏には、「金銭トラブル」を週刊女性にでっち上げられた「竹田」氏以前に、彫金師「A」との事実婚の期間が存在し、ここでも遺族年金詐取の疑惑があるという。

 記事の見出しは、あたかも佳代氏が2,000万円を詐取したかのような内容である。読者は誰しも佳代氏が2,000万円を詐取したと理解してしまうが、よく読めば、佳代氏がAと事実婚の状態にあったことを前提に、遺族年金を詐取したとする記事である。加えて弁護士に相談した内容も記載されており、佳代氏の遺族年金詐取疑惑は疑問の余地がないものとのことで、その犯罪性はより悪質である。

 登場した弁護士が引用したのは、生計維持・生計同一認定基準を示した厚生労働省年金局長通知(2011年3月23日:年発0323第1号)であるが、相談を受けた弁護士は基本的に重要な点を記者に伝えなかったのではないかと思われる。それは通知が遺族年金受給権の「発生の有無に関する認定基準」であって、遺族年金の「消滅に関する認定基準」ではないことである。同じ「事実婚」の認定であっても、まったく考慮すべき事実・視点が異なることを記者に十分に伝えなかった可能性も考えられる。

 佳代氏は遺族年金の受給によって、独立して息圭さんとの母子家庭を維持してきたのであるから、あえて無収入の男性と婚姻して、遺族年金の収入を失う「馬鹿げた行為」をするはずがないというのが、常識的な考え方ではないだろうか。

 成人女性が成人男性と親しくなることは違法ではないから、その親しさの程度になかに、1つ屋根の下で同居生活をすることがあっても、それが直ちに婚姻意思に基づく「事実婚」と評価されることもない。

 記事によれば、Aは基本的に無収入に近かったから、Aから佳代氏が経済的支援を定期的に受けた事実もないはずだ。つまり、佳代氏がAから扶養された事実も存在しない。このように記事は「生計同一性」が存在しない事実を認めたものとなっている。遺族年金詐取疑惑など微塵もないはずなのだが…。

 とくに相談を受けた弁護士の説明は「ほぼ詭弁」である。同誌が弁護士の話を改竄していないことを前提に、以下にその「詭弁性」を指摘する。記事では「『事実婚と認められたら失効するので、同居の男性に収入があるかないかは失効に影響を与えません』(正木弁護士)」とある。

 同居の男性に収入がなければ、男性からの経済的支援により扶養されているという関係は成立せず、抽象的な若い男女間で恋に落ちた2人が婚姻意思をもつ場合なら別だが、遺族年金で母子家庭を維持してきた佳代氏に「婚姻の意思」などなかったのではないか。

 同居生活の事実さえ、記者の取材という客観性のないほぼ「近隣住民の伝聞証拠」(噂話の程度)に基づく遠い過去の事実であることを思えば、同誌の罪は大きくて深い。

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