【佐賀】有明海の養殖ノリは遺伝的に酷似 佐賀大学の全ゲノム解析で判明
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佐賀大学総合分析実験センターの永野幸生准教授と農学部の木村圭准教授らの研究グループが、有明海に生育するノリの全ゲノム解析を世界で初めて実施。佐賀県特産のノリの養殖品種が、遺伝的に酷似していることを突き止めた。
永野准教授らは「遺伝的に酷似する品種を使った新品種の開発では、最近の海温上昇など地球温暖化に耐える画期的な開発は困難」と警鐘を鳴らし、新品種開発の戦略転換が必要としている。
研究グループは、国内で生育するノリのうち養殖に最も使われている「スサビノリ」に着目。有明海で養殖されている品種や養殖場周辺から採取した野生株を中心に全ゲノム解析を実施した。ゲノムは、細胞の葉緑体、ミトコンドリア、核の3カ所にある。葉緑体とミトコンドリアのゲノムは、情報量は少ないが、得られたデータの解釈は容易。核のゲノムは情報量は多いものの、得られた情報の解釈が難しい特徴がある。
研究グループは、まず、葉緑体とミトコンドリアのゲノムを解析し、中国・山東省のスサビノリ野生株のデータを対照群に用いて比較した。その結果、日本のスサビノリ間の葉緑体とミトコンドリアのゲノムの違いは、中国・山東省のスサビノリ野生株間のそれと比べて極めて小さいことが判明。日本の養殖品種や養殖場周辺の野生株は遺伝的に酷似していた。
核のゲノム解析でも、日本の養殖品種間は遺伝的に酷似していた。野生株も養殖品種と遺伝的に近かった。さらに同一養殖品種内の遺伝的変化の追跡にも成功した。
これらの結果から研究グループは、有明海で生育するノリの養殖品種や養殖場周辺の野生株は遺伝的に酷似しているため、大きな気候変動に耐えうる画期的な新品種の開発は望めないと結論付けた。世界のノリで大規模養殖に成功したのは日本のスサビノリと中国のタンシサイの2種類のみ。スサビノリは、急成長する株が偶然発見されたことで養殖につながった。どの遺伝子の変異がそうした変化をもたらしたかは、今なお不明だ。
研究グループによると、佐賀県や同県有明海漁協の品種改良は、偶然に成長に適した株をみつけて栽培品種にしていく方法が一般的。積極的な交雑育種は試みていないという。このため永野准教授らのグループは、今後5年程度をメドに成長の速さに関わる原因遺伝子を特定。その後、別種の高温耐性ノリの高温耐性遺伝子を特定し「遺伝子破壊(遺伝子ノックアウト)」によって高い海温に強く成長の速い新品種を開発したいとしている。今回の研究成果は、米科学雑誌『PLOS ONE(プロス・ワン)』オンライン版に掲載された。
【南里 秀之】
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