【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(35)~新福岡空港島(案)と水深の関係
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
新福岡空港島の配置図と、玄界灘の水深コンタ図とを重ね合わせることによって、空港島の計画地の水深がおおよそ把握できる。
新空港島の計画地の水深は、南側で約25m、北側で約30~35mとみられる。
新空港島のような人工島を造成する場合、その水深によって埋立土砂の量が大きく変わるだけでなく、護岸づくりや軟弱地盤の地盤改良などの工事量にも影響してくる。そのため、水深は浅く沖積粘土層なども浅いほうが、工事はやりやすいし、建設コストも少なくて済む。
ちなみに同じような海上空港の事例では、関西国際空港の造成の際の水深は約18~19.5m、新北九州空港の場合は14~17mであった。これらと比較すると、水深25~30mという新福岡空港島(案)は、かなりの埋立土砂と地盤改良工事が必要とされ、時間とコストがかかることになる。さらに、大量の土砂を集荷する土取り場をどこに設けるかも問題ともなるだろう。
しかし、陸地に近づければ、建設コストはたしかに安くなる可能性はあるが、その一方で、前に触れたように玄海国定公園の砂浜域を壊してしまったり、航空機の離発着による騒音域が都心部までかかってしまったり、航空法による高さ制限が都心部にまで影響するようなことが出てくる。それでは、新空港島を建設する意味はないのである。
(つづく)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。関連キーワード
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