【企業研究】2032年に3,000店舗・売上高3兆円 ニトリの野望実現に向けた道のり(中)
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ニトリホールディングスの2021年2月期は売上高が前期比11.6%増の7,169億円、営業利益が28.1%増の1,377億円となり、34期連続で増収増益を達成し、営業利益率も19.2%と高い水準を維持した。32年には3,000店舗・売上高3兆円という遠大な目標を掲げているが、その実現に向けて新たな動きを活発化させている。
買収した島忠との融合で「住宅総合専門店」を手に
昨秋、ホームセンターの島忠を買収、今年1月に子会社化し、ホームセンター事業にも参入した。買収に当たってはホーセンター大手のDCMホールディングスとTOB(株式公開買い付け)で争う構図となり話題を集めたが、後出しじゃんけんでDCMよりも高い買い取り価格を提示し傘下に収めた。ホームセンターは住まいに関する商品を取り扱い、ニトリが扱う家具・インテリアと親和性も高く、以前から市場参入が取りざたされており、今回実現する運びとなった。
6月11日には島忠の既存店をリニューアルし、初の融合型店舗「ニトリホームズ 宮原店」(さいたま市)がオープンした。売り場面積は約3,600坪で、約6万3,820アイテムを取り扱う。同社は「ニトリホームズ」を「グループ初の新たなトータルコーディネート店舗」と位置付ける。1階はホームセンターとスーパーマーケット、アパレルブランド「N+」で構成されている。
島忠が取り扱ってきたNB(ナショナルブランド)の生活用品や家電に加え、ニトリのPB(プライベートブランド)商品も取り扱い、キッチン・ダイニング用品売り場は人気のニトリの品ぞろえとした。2階はニトリと島忠の家具やカーテン、ラグなどのホームファッションを展開。両社が取り扱ってきた家具のコーディネートを提案するコーナーも設けた。ニトリの商品は中価格帯以下なのに対して島忠はそれ以上で、品ぞろえの幅が広がり、さまざまなニーズに対応することが可能になる。また、競争力のあるニトリのPBを導入したことで、集客力も高まると予想される。ニトリホールディングスの似鳥会長は、同店について本格的な「住生活の総合専門店」が日本で初めて生まれたのではないかと考えており、業態として大いに可能性があるとみている。
今後の島忠の店舗展開は、島忠とニトリのいいとこ取りをした店舗「ニトリホームズ」を増やしていき、ニトリのノウハウを活用した島忠独自の商品開発も進めていく。島忠を手に入れたことで住生活の総合専門店という新たな店舗フォーマットの開発が可能となり、島忠の既存店舗の活性化だけでなく、新業態としての店舗展開も視野に入る。また、ニトリの既存店舗でのMD改革や島忠がもつ接客技術の活用により、高額商品の販売強化にもつながる可能性がある。
本丸のニトリではコーディネートで売り場改革
こうして新たな領域に事業を広げているが、本丸のニトリでも改革が進んでいる。ニトリは季節商品でコーディネートを提案、売り場でもルーム提案を展開してきたが、5年前から豊かな暮らしの提案に向けて、トータルコーディネートに関する取り組みをスタートさせた。
まず、価格軸において、プライスブランドで低価格の「DAY Value(デイバリュー)」とクオリティーブランドで中価格帯の「& Style(アンドスタイル)」の2ラインを設定。「価格」「品質」「デザイン」のバランスをとりながら、価格やカラースタイルを統一し、より買いやすくして、好みに合ったライフスタイルを提供する。さらに、自宅にモノは溢れているが、くつろいで過ごすスペースになっていない。何を買ってどう組み合わせればよいかわからない。そうした悩みに対してわかりやすく提案するため、季節に限定せず、企画を通年で展開するアイテムを投入する。欧米のように住まいの空間でコーディネートを楽しむ習慣を日本でも根付かせるため、導入の役割を率先してはたそうとしている。
(つづく)
【西川 立一】
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