【IR福岡誘致開発特別連載46】菅政権、IR横浜の中国カジノ企業に一切興味なし
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14日に放送されたTBSのテレビバラエティ番組『ひるおび!』において、政治ジャーナリスト・評論家の田崎史郎氏(71歳)が思いがけぬ発言をし、16日の同局の報道番組『報道1930』においても同じ発言をした。田崎氏は元時事通信社勤務であり、安倍晋三前首相とは以前から強いつながりをもっていて、菅政権の擁護代弁者として良く知られている。
田崎氏の発言は、「菅政権にIR横浜への興味は一切ありませんよ」という辛辣なものだ。その理由は、安倍前政権の当初から、IRの対象は米国のカジノ企業「ラスベガス・サンズ」などとしているためであり、IR横浜で残っているのは中国とシンガポールの企業ではないかと言い切ったのだ(筆者は常々、香港やマカオにある企業は中華系カジノ企業と表現している)。この発言には、MCの恵俊彰氏も驚きを隠せなかった。
田崎氏のこの発言の経緯について説明しよう。その発端は、今秋の衆議院選挙と、菅政権の今後が危ぶまれることについての質問で始まった。東京都議選の自民党の惨敗から、コロナ対策の不始末、オリンピック招致問題に至る支持率の低下、来月早々の横浜市長選挙予想に話がおよんだ結果である。
菅首相がIRを推進する現職の林文子市長を支持せず、IR横浜誘致反対を表明して衆議院議員・国務大臣を辞職して横浜市市長選挙に新たに立候補した国家公安委員会委員長・小此木八郎氏を推薦している経緯をについて番組出演者が田崎氏に問い掛けた。
田崎氏は、菅首相が当時、横浜市議会議員になることができ、そして現在の地位にあるのは、小此木氏の実父・彦三郎氏の秘書を務めたおかげであり、縁もゆかりもない横浜に自らの拠点を築けたことについて、この時代に遡って恩義を常に感じている、と説明している。
田崎氏が安倍前政権と現政権に強いつながりをもっていることは良く知られており、信憑性が高い話だ。これまでの筆者の推測通りの展開といえる。本連載第44号で説明していたことが、現実のこととなりそうだ。
IR横浜で米国カジノ企業がコロナ前に撤退して残ったのは中国とシンガポールのカジノ企業だという田崎氏の表現は何とも吐き捨てるような言い方に感じた。さらに、田崎氏は、小此木氏はIRそのものに反対している訳ではなく、横浜では諸々の問題で無理があり、実現が困難であるためだと付け加えた。このように「IR横浜」はすでに横浜市長選挙の争点ではなくなったのだと説明している。
IRを誘致促進する現職の林市長は、自民党横浜市連の公認を取れず、田崎氏の発言により、林市長の再選はさらに難しくなるだろう。田崎氏は続けて、菅首相の地元・横浜の保守系の票が割れており、かつ政権への支持率が低いことから、野党が共闘により勝利する可能性も十分にあり得ると評しているのだ。
市長選挙の結果次第では、IR横浜は「東京築地跡地のIR」に変身する可能性があるため、今後の小池百合子都知事の動向には十分に注意を払いたい。セガサミーホールディングス・里見治氏グループは、すべてを計画に入れているだろうから、MGMリゾーツ・インターナショナルと連携したIR大阪、東京都築跡地のIR、米国カジノ企業と連携した海の中道のIR福岡の3カ所しか有力な候補地はないであろう。
IRは後背地人口のある大都市のみが対象であり、採算性にリスクのある地方都市は対象外だ。中国カジノ企業が関係したプロジェクトは、日米経済安全保障問題などの理由により、IR誘致開発のチャンスは一切ない。
田崎氏は安倍前政権を熟知しており、氏の発言は、IRは「安倍・トランプ密約」から始まり、これを引き継いだ現・菅政権も同様だと言っているようなものだ。
全国に3カ所のIRが実現されるには、コロナ感染拡大の状況下では、まだ時間を要する。IR大阪以外の候補地は今後の準備作業も必要としており、政府は来年4月の申請締切日を再度延長せざるを得ないだろう。
【青木 義彦】
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