2024年09月10日( 火 )

ふくおかFGと西日本FHの経営成績を検証

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 【表1】は、ふくおかFGと西日本FHの経営成績推移表である。2021年3月期と18年3月期の経営成績比較表を見る。

 企業の売上高に当たるふくおかFGの2021年3月期の経常収益は、18年3月期比371億8,200万円増の2,747億5400万円(同15.7%増)。一方、西日本FHの21年3月期の経常収益は同▲76億6,700万円減の1,349億4,900万円(同5.4%減)となった。

 ふくおかFGの経常利益は同112億900万円減の604億2,700万円(同15.6%減)。西日本FHの経常利益も同71億7,400万円減の267億6,300万円(同21.1%減)と減少し、ふくおかFGよりも減少率が高い。ふくおかFGの18年3月期のシェアは67.9%だったが、21年3月期は69.3%と1.4ポイント増加.し、西日本FHは減少している。

 ふくおかFGの当期純利益は同47億2,200万円減の446億4,700万円(同9.6%減)。西日本FHの当期純利益は同33億7,900万円減の180億8,800万円(同15.7%減)となり、ふくおかFGよりも減少率が高い。両社とも、マイナス金利政策やコロナウイルスの影響を受けている様子が読み取れる。

 21年3月期と18年3月期の経営成績の親会社株主に帰属する当期純利益を見ると、ふくおかFGの比率は約70%、西日本FHは約30%で推移し、ふくおかFGが優位な収益状況を維持していることがわかる。

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 【表2】は、ふくおかFG傘下行(3行)と西日本FH傘下行(2行)の21年3月期の経営成績(単体)推移表である。

 当期純利益のトップは福岡銀行で495億1,900万円、シェアは69.5%。2位は西日本シティ銀行で148億3,800万円、シェアは20.8%となった。3位は熊本銀行で46億8,400万円、シェアは6.6%。4位は十八親和銀行で21億4,300万円、シェアは3.0%。5位は長崎銀行で7,900万円、シェアは0.1%となっている。

 ふくおかFGの傘下行のシェア79.1%に対して、西日本FHは20.9%となっている。十八親和銀行の経営が安定すれば、さらにその差は大きくなることも予想される。

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 【表3】は、福岡銀行と西日本シティ銀行の歴代頭取の推移表である。

 福岡銀行は柴戸隆成氏が代表取締役会長兼頭取。福岡銀行は日銀出身者が歴代頭取に就任していたが、50年振りに谷正明氏が頭取となり、プロパーが続いている。

 西日本シティ銀行は歴代大蔵省(現・ 財務省)出身者が頭取に就任していたが、今年6月にプロパーの村上英之氏が代表取締役頭取に就任している。

 福岡銀行と西日本シティ銀行ともプロパー頭取となっているが、西日本シティ銀行は谷川浩道代表取締役会長と6月まで代表取締役会長だった久保田勇夫氏が取締役にとどまっているなか、村上頭取が思い切った経営方針を打ち出せるかどうかが問われる。福岡銀行と西日本シティ銀行の差が狭まるか、それとも広がるかは、村上頭取の経営手腕次第といえそうだ。

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【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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