2024年09月27日( 金 )

中国経済新聞に学ぶ~少子化止まらず 中国政府は学習塾を閉鎖へ(前)

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学習塾 イメージ 中国政府は7月24日、「義務教育段階における宿題や塾などの負担軽減に関する意見」(俗に「双減政策」)を発表した。学校外での教育機関(学習塾)での勉強を厳しく規制し、子どもたちの負担を軽減するとともに、家庭における経済的な負担も軽減し、親子での自由な時間を増やして、健やかに楽しく過ごしてもらうためのものである。

 これによると、「既存の学習系機関はいずれも非営利機関とし、祝祭日や夏休み、冬休み中における学習指導の実施は禁止し、また上場や融資をしてはならない」とされている。

 すなわち、学習機関は上場・非上場を問わず、売上を出しても株主へ配当せず、また賞与もなく、利益は経営目的に使われることになる。

 その後、上海市などがこれに関する実施細則を発表した。すべての学習機関に対し、規模の大小や存続年数に関わらず、2021年9月1日までに運営免許を取り消すとのことである。事業者は改めて政府部門に届け出をし、条件を満たした場合のみ授業の再開が認められるが、そうでないものについてはすべて「違法機関」と見なし、取り締まりの対象とする。

 この指令を受け、中国全土で学習機関が壊滅状態になっている。リストラや倒産の知らせが相次ぎ、失業者数は1,000万人に上ると見られ、経済全体でも大打撃が生じることにもなる。

 8月12日、大手の英会話スクールである「ウォールストリートイングリッシュ」が、8月末までに破産宣言をすると発表し、各分校の校長に対し、従業員の離職手続きを進めるよう求めた。

 1972年にイタリアで設立されたウォールストリートイングリッシュは、世界28の国と地域に進出、2000年に中国に参入して以来、11の都市で70校あまりを開設した。従業員数は3,000人を数え、生徒は小中学生から大人までおよんでいる。

 しかし新型コロナウイルスの影響で、中国ではほとんどの分校で対面授業が禁止され、オンライン授業のみ実施となったため、従業員の3分の2が解雇され、学校数も40カ所あまりに減った。ここ3か月は給与も支給されていない。加えて今回の政府による「双減政策」で、完全に息の根が絶たれた。学校側はさらに、授業料8億元(約135億円)を返金しなければならないという。

 この「双減」政策により、民間教育機関の大手上場三社「好未来」「高途集団」「新東方」の時価総額が、一夜にして1,092億元(約1兆8,500億円)も減った。なかでも業界最大手の「新東方」は50%もダウンしている。

 新東方では、会社の存続について行われた会議で、託児所の経営へと方針転換を勧める意見も出た。創業者の兪敏洪氏の目から涙がこぼれたという。

(つづく)


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