2024年12月24日( 火 )

アフガン 自衛隊の救出活動のお粗末【読者投稿】

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 今回は、アフガニスタンからの退避のための救出活動に関するご意見を紹介する。

 日本から多くの自衛隊員を乗せた大掛かりな救助隊を編成し、アフガニスタンに退避支援のために自衛隊輸送機で向かったのであるが、結果として、実にお粗末な対応となったことに失望した。

 アメリカ軍の撤退完了を受けて、日本大使館などで働いていたアフガニスタン人のスタッフやその家族ら500名以上を現地に残したまま、岸信夫防衛大臣は日本大使館勤務の日本人12名を退避させ、派遣した多くの自衛官と自衛隊輸送機を撤収させたのだ。唯一のアフガニスタン在留邦人で共同通信社勤務のカブール通信員、安井浩美氏を1人を乗せて隣国のパキスタンに移送しただけだった。

 さらに驚いたのは、現地の大使館の大使が真っ先に逃げ出すなど、絶対にあってはならない恥ずべき行為をしていたことだ。大使には 「現地法人の生命・身体・財産を守ること」という重責を担う仕事があり、使命感をもって行なわなければならない最も大切な役目がある。自身の命も顧みず、使命感をもって最も重要な職責を全うしなければならない。

 異常な状況に立たされたときに、その人が冷静沈着な思考や判断を行うかどうかにより、受け皿の広さや深さ、人となりが明確にわかると言われている。何でもない平穏なときは、ほとんどの人がおおよそ冷静な判断ができる。今回のように、紛争地で身の危険を著しく感じる緊迫した状況に置かれたとき、重責を担う立場の大使は、現地法人のスタッフや関係者らと生死をともにする覚悟をもち、平穏な時と同様に冷静な思考と判断により重責を全うする使命感をもって行動したとは、とても考えられない。

 大使が職責を全うできなかった結果に対しては、ペナルティがあるのが本来の社会通念だ。このような恥ずべき行動には、筆者なら更迭に相当すると判断する。

 菅義偉首相は、現地大使館関係の地元協力者の多くを見捨てておきながら、この実情を失態として反省するどころか 「そういう意味では良かった」と、発言している。自身の保身のためなのかと考えられるが、これが事なかれ主義の慢性化した日本のトップリーダーの姿なのだ。これでは、他国から侵略の兆しがあっても即応できない。

 アメリカの動向を常にうかがいながら、自衛隊発動の方針を決める際には「現在、情報収集をしています」という都合が良い言葉を使って時間稼ぎし、すでに危機が迫り緊迫した情報が入っていても、アメリカの対応が明確になるまでは動けない。多くの前例があるように日本独自で動こうとはしない慣習により、ミサイルが着弾して犠牲者が出るまで慌てふためいて動かず、常に受け身で後手後手の姿勢だ。

 この程度の任務で支払っている本給以外の自衛官の海外派遣手当額を公にしてもらいたいものだ。

 コロナ対策や地震、津波、豪雨などの災害対策で、後手後手の対応を見せられると政府に対する国民の信頼は低下する一方だ。国民は自己承認欲求が強い政治家の面倒な発言に飽き飽きしている。今回のアフガン退避支援において、菅首相の発言に呆れた国民は「もう、この人に期待できない」とさらなる不信感を強めた。その国民感情を宥めるにはもう手遅れだ。

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