九州大発ベンチャー、新型コロナの抗体測定キット発売 反響大きく販売網拡大へ
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九州大学発のベンチャー企業「KAICO(カイコ)(株)」(福岡市)が、新型コロナウイルスに対する血液中の抗体量(中和抗体価)を測定できる抗体検査キットを発売した。9月3日時点で福岡市の「タカラ薬局」と「薬局白十字」で扱っている。反響が大きく、9月中旬をめどに自社オンラインショップの開設やドラッグストアでの取扱いなど販売網を拡大する。
同社は2018年4月の設立で、カイコを用いた組換えタンパク質発現技術によって医薬品や診断薬、試薬の生産を手がける。九州大学や鹿児島大学とタイアップしてカイコを活用する「経口ワクチン」の開発も進めている。
コロナ抗体の測定検査キットは、カイコから合成した「スパイクタンパク質」がコロナ抗体にくっつく特性に着目した。コロナ抗体をスパイクタンパク質で挟み込んで発色させて検出する自社技術と、血液中のコロナ抗体の存在の有無を判定する別の会社の技術を組み合わせた。
希望者は自ら血液を4滴採って、「ろ紙」に1滴ずつ落として2時間乾燥。その後、ろ紙をチャック袋に入れて返信用封筒で提携する臨床検査会社に郵送する。
測定方法は、コロナ抗体を特異抗体または抗原で捕捉し酵素反応によって検出、定量するエライザ法。ただ測定値は本人に伝えず、レベル1からレベル5の5段階で報告する。同社によると、レベル1は未接種、レベル2は1回接種、レベル4は2回接種。製品性能試験のデータを基にした平均値を目安にしたという。
郵送に合わせてメールアドレスを登録すると、本人のアカウントになり、1週間ほどでパソコンやスマートフォンから測定結果を確認できる。結果はサーバーに保存するため、継続して測定すると自分の抗体の推移がわかる。測定検査キットはオープン価格だが、店頭では3,500円程度で販売されている。
政府CIOポータルによると、国内のワクチン接種率は9月1日現在で1回目50.50%、2回目40.36%。3回目の接種も検討されている。同社は「発売直後から予想以上の引き合いがあり、増産体制に入った。販売チャネルも増やし、全国のニーズに対応したい」と話している。
【南里 秀之】
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