求められる政策能力の向上、変化する状況に即したコロナ対策を
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福岡市議会議員 自民党福岡市議団総務会長 稲員 稔夫 氏
新型コロナウイルスの感染拡大により、政治家は従来通りに地域活動を行えなくなるなか、地域住民の実情に即した政策の立案を求められている。稲員稔夫福岡市議会議員は、コロナ禍をきっかけに議員活動の仕方が変わっており、議員は市民生活向上のための政策能力を向上させることが求められると指摘するとともに、市民の議員に対する評価基準が政策重視へと変わっていくことに期待を寄せる。
コロナ禍をきっかけに、議員は政策能力向上を
――新型コロナウイルスの感染拡大により、活動にどのような影響が出ていますか。
稲員稔夫氏(以下、稲員) 地域の催しなどの活動自体が減り、参加する機会が減りました。人と人が直接会うことの大切さを実感しています。報告だけならオンラインでもできますが、議論を交わし、何かを訴えるためには、直接会ってでないとその熱意が伝わりにくいと感じます。
議員への評価についていえば、現状では、地域活動に幅広くかつ頻繁に顔を出している議員が活動に熱心だと思われており、地域のボランティア活動への参加をブログ・SNSなどでアピールしている議員もいます。しかし、これらは議員でなくても行える活動であり、パフォーマンスに利用されていると感じています。
やはり、評価されるべきは政策能力です。議員は質問の質の向上を心がけるとともに、拙くても自身の思いを込めて質問すべきだと思います。
コロナ禍は、議員活動の必要性や意義を見直す良い機会となっています。コロナ禍をきっかけに、議員がパフォーマンスよりも政策を訴えるようになり、有権者が議員の政策面での実績や構想を重視して評価するように変化していくことを期待しています。
地域の有権者の方が、各議員の質問内容を調べて、私が子育て支援や教育の問題に取り組んでいる様子を知って選挙で投票したと話してくれたことがあります。このように見ていただけるとうれしいものです。
新たなコロナ対策を
――今後必要なコロナ対策は?
稲員 変化する状況に対応した対策が求められます。昨年を振り返ってみて、自民党市議団は早い時点で飲食店に対する家賃支援やテイクアウト支援、飲食店以外の事業者への支援などを提言しており、市民のお役に立てたと思っています。
ただ、地域の飲食店からは、現在ではテイクアウトが売上増にさほど寄与していないという意見を聞きます。時短営業が続き、来店客が減るなか、自宅で料理をして過ごすというスタイルも新たな生活様式として、市民の間に定着しつつあるのではと感じています。議員である私自身も、夜の会合などの予定が減った状況に慣れ、帰宅して子どもと過ごす時間を楽しみにするようになったほどです。
現在、飲食店がもっとも強く不安に抱いていることは、「お店の営業を再開できないかもしれない」、再開すると支援金を受け取れなくなるが「客が戻るかどうかわからない」というものです。このように飲食店を取り巻く状況が、昨年のコロナ感染拡大当初のものとは変わっています。コロナが終息するにしても、共存していくことになるとしても、市民の意識がすぐに変わるとは思えません。コロナ禍のなか何とか持ちこたえていたものの、終息して通常の生活に戻った後、行政からの支援金などがなくなり、客が戻らないという状況になれば、廃業せざるを得ない事業者が少なからず出てくると危惧しています。
売上が減少した事業者への支援金などはすでにスタンダードなものとなっていますが、ほかの支援策を現在の実情に即したものへと変えていく必要があります。福岡県でも8月から導入された先渡し給付は、飲食店側の早く給付金がほしいというニーズに合ったものであり、評価できると思います。
そうしたなか、コロナ感染防止でもっとも効果があるのは、現時点ではワクチン接種です。福岡市は県内のほかの市町村に比べ接種率が高く、これは高島市長以下、行政職員の頑張りと医療従事者の協力の賜物です。
ワクチンを接種するかしないかは、市民各自が自己責任で判断して決めることですが、入国に際しワクチン接種証明書を必要とする国もあります。日本でもワクチン接種を推し進めていることから、たとえば従業員がワクチンの2回接種を終え、感染対策に努めている飲食店などについては、通常に近いかたちで営業できるようにすることを考える必要があります。ただ、ワクチンを接種できない市民に対して差別的な言動がなされないよう配慮する必要もあります。感染拡大を阻止するとともに、コロナ後を見据えていくことも必要だと思います。
そして、コロナ禍のような有事のときこそ、人に寄り添うことを忘れずに覚悟をもって、さまざまなことを判断していかなければならないと考えています。
――6月に自民党福岡市議団の総務会長に就任しました。
稲員 市議団総務会長の主な業務は、会派の日常業務を裁くことです。なお、ほかの会派との連絡・交渉に関しては、幹事長が議会運営など、政調会長が政策調整などを担当します。コロナ禍でスピード感をもった対策が求められるなか、市議団として市長・行政との意思疎通は以前よりもしっかりとできていると思います。市民のために最善のことができるよう、いろいろな立場の人の話を聞き、会長を補佐して市議団をとりまとめ、良い政策を提案できるよう尽力していきます。
【茅野 雅弘】
<プロフィール>
稲員 稔夫(いなかず・としお)
1973年生まれ、福岡市出身。97年国際武道大学卒業。2015年福岡市議会議員初当選(中央区、2期目)、21年6月から自民党福岡市議団総務会長。
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