壱岐、そして日本の未来のために 事業多角化を推進(前)
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(株)なかはら
建設業を手がける(株)なかはらは、壱岐島内でトップクラスの企業。なかはらグループとして、生コン製造販売、風力発電、太陽光発電、養殖など多岐にわたる事業を手がけている。
風力、太陽光発電事業を展開
(株)なかはらは1937年6月に(資)中原組としてスタート。46年11月に(名)中原組に組織変更。71年9月に中原建設(株)に組織変更し、2002年9月に現商号となった。港湾土木工事を中心に壱岐島内の数々の漁港整備を手がけるほか、道路工事、店舗や工場の新築工事などを行っている。
中原達夫会長は「壱岐以外の長崎の離島には大手マリコンが進出してきましたが、当社の存在もあり、壱岐には進出してきませんでした。従って港湾土木工事を主力にしてきたのですが、壱岐島内でのインフラ整備もひと段落したことから、事業の多角化を図るべく02年に現商号に変更しました」と語る。
現在、なかはらグループは同社のほか、生コンクリートの製造・販売を手がける壱岐生コン(株)、砂利の採取・販売を手がける壱岐開発(株)、ホテル業の壱岐マリーナホテル、ガソリンスタンド運営のスカイロード壱岐、再生可能エネルギー事業の壱岐クリーンエネルギー(株)などで構成。このほか食品製造(天然塩、天然水)、繁殖牛の飼育、海運業など実に多種多様な事業を手がけており、中原会長は友人から「一体どの事業が主力となって飯を食っているんだ」と聞かれることもしばしばだという。
壱岐をCO2排出ゼロに
「壱岐をCO2排出ゼロの島に」を合言葉に同グループでは風力発電所、太陽光発電所の建設に注力。島内に出力2MWの風力発電所「壱岐芦辺風力発電所」を設置するほか、同じく出力2MWの太陽光発電所「壱岐ソーラーパーク」も設置している。
中原会長は「脱原発と言われていますが、しばらくは原発に頼らざるを得ない状況が続くでしょう。しかし、近年の地球温暖化の状況を考慮すると、そう悠長なことは言っていられません。一刻でも早くCO2を削減して地球温暖化の進行を止めなければなりません。そうしないと私たちの子孫は文字通りの『灼熱地獄』に晒されてしまいます」と地球の将来を危惧する。
中原会長の小中学校時代(50年代~60年代初頭)の壱岐の気温は、夏であっても30度を超える日は今ほど多くなかったといい、「夏になると蚊帳を張って窓を開け放って眠っていましたが、今はクーラーなしでは、とてもではないが眠れません」と語る。
「海水温が30度を超えてしまうと海藻が根腐れを起こしてしまいます。それにともない、魚も移動してしまいます。実際、ここ数年ブリの漁獲量が激減しています。また、かつてマグロは『春の壱岐、冬の大間』と称されるほどだったのですが、温暖化の影響でマグロの漁獲量も激減しました」(中原会長)。
地球温暖化への対応はもはや「待ったなし」の状況とし、「我々1人ひとりが、これまで以上に真剣に気候変動問題について考えていかなければなりません」という言葉に中原会長の強い決意が感じられる。
福岡も通勤圏に
壱岐の人口は1955年の5万1,765人をピークに減少の一途をたどっており、現在は2万5,643人(21年7月末時点)にまで半減している。壱岐市が公表している推計結果によると、30年は2万1,149人、35年には1万9,307人にまで減少する見込みだ。
コロナ禍によりリモートワークが定着。会社に毎日出勤する必要がなくなった。福岡から壱岐へは九州郵船のジェットフォイルに乗れば1時間5分(芦辺港)、長崎空港からは飛行機で30分。東京からでも飛行機で羽田から福岡空港を経由し、博多港からジェットフォイルに乗ればおよそ4時間の搭乗・乗船で壱岐の芦辺港に到着する。長崎空港経由なら東京からおよそ3時間超で壱岐に来ることができる。壱岐に移住して普段はリモートワークを行い、出社が必要なときにフェリーで福岡の会社に出勤することは十分可能だ。
(つづく)
【新貝 竜也】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:中原 達夫 ほか2名
所在地:長崎県壱岐市芦辺町箱崎中山触828-1
設 立:1971年9月
資本金:5,000万円
売上高:(20/5)28億8,097万円関連キーワード
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