突然の社長交代 五洋食品産業に何が起きているのか(4)
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2015年8月、約3億5,000万円の第三者割当増資により、IEが五洋食品産業の筆頭株主となった。増資で得た資金は、主に本社工場の老朽化した製造設備の更新に充てられ、供給能力の向上が図られた。IEが筆頭株主となって初めての株主総会で選任された役員は下記の通りだ(監査役を除く)。
IE代表の佐野睦典氏が社外取締役に就任している。このときから今年の株主総会まで、同社の役員は任期満了での退任と社員からの登用などでメンバーが入れ替わってきた(株主から修正動議が出る前の選任予定者は本連載(1)を参照)。
15年から今年に至るまでの6年間、継続して取締役を務めたのは舛田圭良氏、藤永晋也氏、社外の前田隆氏の3名だけである。次に、その期間の同社の業績推移を見てみよう。
売上高に多少の波はあるものの、緩やかに上昇基調を描いている。18年5月期には20億円を突破した。利益面では18年の赤字が目立つが、これは本社工場の増改築にともなう減価償却費が増加したこと、さらに生産要員不足による労務費上昇の影響からだ。減価償却費はキャッシュアウトをともなうものではないし、労務費に関しても増改築による生産効率の改善が進むとともに課題は解消されていった。利益面の改善が進んだことで、21年5月期は経常利益、当期利益とも1億円を突破した。株主総会で「業績を向上させている経営者をなぜ交代させるのか」という疑問が出るのも理解できる。
この6年間、社内で役員を続けたのは舛田氏、藤永氏しかおらず、この2トップが同社の牽引役を担ってきたことは間違いないだろう。今回の株主総会では、その2人が役員から外され、同じく同社を支えてきた社外取締役・前田氏が、納得できず自ら退任を申し出た。そして新代表には、IEが送り込んだ弁護士の星野健秀氏ではなく、役員経験が1年しかない崎原正吾氏が就いた。この経営トップ交代に何か必然性があるのだろうか。
取材で同社のIR担当に交代の理由を聞いたが、「不祥事などではない」「株主の意図がわからない」との回答だった。
(つづく)
【緒方 克美】
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