2024年11月25日( 月 )

小笹に建設中のマンションで紛争(8)田中構造設計社長の実務経験偽装!仲盛氏が語る

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 田中忍氏は独立する前に構造設計会社の(株)サムシングに勤務していた。サムシングの代表であった仲盛昭二氏に、田中忍氏について話をうかがった。

(聞き手:桑野 健介)

   仲盛 ここで、田中構造設計代表取締役社長・田中忍氏について、いくつかお話をさせていただきます。田中氏はサムシング在職中に二級建築士を受験して合格していますが、二級建築士を受験する際の建築実務経験を偽って受験申込書に記載していました。これは、当時、社員の間で話題となっていたため、私の耳にも入ってきました。

 田中氏は現在、一級建築士で構造設計一級建築士です。一級建築士の資格を取得する前段階として、まず二級建築士の資格を取得しています。二級建築士取得後、一定の実務経験を経て一級建築士を受験できます。

<二級建築士を受験する際に必要な実務経験>
 ・高校の建築科などを卒業した者:卒業後3年以上の建築実務経験
 ・建築に関する学歴がない場合:7年以上の建築実務経験

   田中氏は、高校の建築科卒業ではないため、7年以上の実務経験がなければ二級建築士を受験できません。しかし、田中氏は、早く資格を取得したかったのか、実務経験について虚偽の記載を行って受験を申し込んでいたのです。田中氏の受験当時の在職年数から見ても明らかに年数が不足しています。試験に合格しているため、実力的には二級建築士の水準には達していたのでしょうが、ルールを破ったことに違いはありません。

 ――建築実務経験を偽って二級建築士の資格を取得したのであれば、その後取得した一級建築士や構造設計一級建築士も無効となるのではないでしょうか?

 仲盛 無資格で設計を行っていたと考えるべきでしょう。田中構造設計は2003年から18年までの間に3,369棟の構造設計を行っており、アイズ小笹のような鉄筋コンクリート造の建物は2,498棟に上ります。これらの建物の設計が無資格者により行われていたのであれば、行政をも巻き込む大問題です。

 3,300棟もの建築物が無資格者により構造設計が行われていたのであれば、その建築確認は無効です。再度、有資格者により構造設計を行い、法適合性を含め、建築確認を受けなければなりません。建築主にとって大きな負担となりますが、適正な建築確認を受けなければ違法建築物となってしまいます。

 19年以降の設計実績も含めると、4,000棟近くもの違法建築物が存在していることを無視することはできません。行政は、厳しく対処していただきたいと考えています。

田中構造設計 実績
田中構造設計 実績
(株)田中構造設計 本社
(株)田中構造設計 本社

 仲盛 また、田中氏は、サムシング在職中に、会社の機械を使い、他の社員に手伝わせて、構造設計のアルバイトをやっていました。これは、他の多数の社員から報告があったことで知りました。当時、田中氏の残業時間が異様に多いと感じていたのですが、田中氏は若いながら家を建てたばかりだったため、私はとくに咎めることはしませんでした。

 ――アルバイトと残業手当の二重取りで、独立開業資金を貯めていたのは、会社に対する重大な背信行為ですね。アイズ小笹における対応も含めて、田中氏の人柄がわかるような気がします。
 設計図書を調べることによりアイズ小笹の地耐力算出においてDf効果が見込まれていることが判明した場合、擁壁が崩壊する恐れもあるということですが、これまでに田中構造設計が設計をした物件においてもアイズ小笹と同様の誤った設計もあり得るでしょうか。

 仲盛 当然のことながら、1つの構造設計事務所の設計思想には共通性があるため、同様の設計が行われた建築物は多数存在すると考えています。

 仮に、田中構造設計が行った構造設計に誤りや偽装があった場合、元請の設計事務所(いわゆる意匠設計事務所)や建築主にも責任がおよぶことがあります。過去の裁判例を見ても、建築主・設計者・施工者が共同不法行為として連帯して賠償責任を負っています。

 今回のアイズ小笹での実態を知り、また、先程話した無資格設計の問題もあります。田中構造設計が設計に関与した物件について、私なりに調査を行ってみたいと考えています。そのなかで、読者にお知らせすべきことが判明すれば お知らせします。アイズ小笹の近隣の住民におかれましては、早く不安を取り除き、平穏な生活を取り戻されることを願っています。

(了)

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