ヤマダHD、創業者・山田会長が2度目の社長復帰~三嶋社長は1年で辞任、後継者問題はどうなる?(後)
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吃驚のニュースが飛び込んできた。報道各社が、家電量販店最大手(株)ヤマダホールディングスの創業者、山田昇会長の社長復帰を一斉に報じた。2013年にも業績不振を受けて社長に復帰。2度目の社長復帰となる。最大の課題である「後継者問題」はどうなる?
生活インフラ企業に業態を転換
今年9月30日、8年ぶりに社長に復帰する山田昇会長は「暮らしまるごと戦略の総仕上げに出る」とメディアに語っている。非家電の売り場が半分を占める新業態を開発し、今後3年で直営店全体の1割程度を占める規模に育てる。
ヤマダホールディングス(HD)が非家電事業の柱に据えることを意図しているのが、ホームファッションや家具に特化した新業態店である。
新業態店の1号店「Tecc LIFE SELECT(テックライフセレクト)」を今年6月18日、熊本市西区春日にオープンした。九州産交田崎車庫跡に08年オープンした「テックランドNew熊本春日店」を一新した店舗で、鉄骨3階建て約1万8,000m2。このうち、売り場面積は約8,500m2。ヤマダデンキの店舗としては九州最大級だ。
「テックライフセレクト」のコンセプトは、家電だけでなく、生活インフラを支える「たのしい。くらしをシアワセにする、せんぶ」。1階はヤマダ不動産と駐車場、2階は家具、寝具、照明器具、インテリア、日用品、医薬品、キッチン用品など、3階はテレビなどの家電製品、パソコン、スマートフォン、ゲーム、おもちゃなどの売り場が並ぶ。
新業態は年間30店の新規出店のほか、既存店の増築により今後3年で全国100~150店舗体制にする。アウトレット家電業態の出店など一連の店舗戦略の転換により、増収効果は全体で年800億円と弾く。
家具・インテリア・雑貨は(株)ニトリホールデイングス(HD)の牙城だ。家具を軸に家電やDIY用品、アウトドアやリフォーム商材までそろえるニトリHDと、ヤマダHDは業態が近づいてきた。
ニトリは「家具のユニクロ」といえるSPA(製造小売)の代表的企業。商品の9割強を自社開発するのが強みで、低価格の冷蔵庫やエアコンなどの大型家電の品ぞろえを増やし、高収益を叩き出している。
ここ10年は停滞が続いてきたヤマダは、体質転換を模索。SPA商品の拡大で、「家電版ユニクロ」といっても遜色のない企業体質へ着実に変わってきた。自己資本がどれだけの利益を生み出したのかを示す自己資本利益率(ROE)は、21年3月期には8.1%に高まった。
利益率向上を牽引するのはSPAだ。同社のSPA家電は「YAMADA SELECT」としてこれまで累計約1万アイテムにおよび、21年3月期で販売構成比は12.6%、粗利益は23.5%と高水準となっている。
家電の王者ヤマダHDと、家具の王者ニトリHDのガチンコ勝負は今後の見どころだ。
三嶋恒夫氏は「後継者」として社内外で経営手腕に対する評価が高まっていただけに、離脱の影響は小さくない。創業者は生涯、経営トップであり続ける。とはいえ、社長に復帰する山田氏は78歳と高齢だ。創業者の最後の大仕事として、新たな後継者探しを迫られることになった。
(了)
【森村 和男】
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