2024年12月23日( 月 )

SBI ホールディングスの新生銀行TOBの成否を検証する (前)

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 ネット金融大手のSBIホールディングス(以下、SBI)は9月9日、新生銀行に対し、「9月10日から10月25日までの期間、一株あたり2,000円、総額およそ1,100億円を投じて最大48%まで、株式を買い増す公開買い付け(TOB)に踏み切る」と発表。それに対して、新生銀行は「事前に連絡を受けておらず、当行取締役会の賛同を得て行われたものではない。TOBに対する対応については、届出書の内容やその他の情報を分析、検討したうえで、早急に対応したい」とするコメントを発表。

 SBIは一昨年、新生銀行の株式を4%取得して以降、段階的に買い増し、同行の約20%を保有する筆頭株主となった。SBIは幅広い金融サービスで協力していくため、新生銀行に対して資本業務提携を申し入れたが、地方創生分野での協力にとどまっていた。それに対して、新生銀行は今年3月、SBIとライバル関係にあるマネックス証券との業務提携を発表。その対応を受けて、SBIは、6月23日に開催された新生銀行の株主総会で、工藤英之代表取締役社長などの再任に反対するなど、対立関係を鮮明化させた。

 今回、SBIが新生銀行に対して、敵対的TOBに踏み切ったのは、上記の流れが背景にあるようだ。

 【表1】、【表2】を見ていただきたい。SBIと傘下6行(含むHD)および新生銀行の2021年9月の株価推移表である。
~これらの表から見えるもの~
◆SBIは9月9日に新生銀行との業務提携を発表。翌10日の株価は前日比214円増の3,020円(同7.63%増)となった。しかし、9月22日は前日比63円安となり、9月10日比305円安の2,715円(同10.1%減)と大きく値を下げている。
 一方、SBIのTOBを受けて立つ新生銀行の22日の株価は、前日比10円減となったものの、9月10日比は136円増の1,876円(同7.8%増)となっている。SBI傘下7行の株価を見ると、前日比プラスは筑邦銀行1行。9月10日比プラスは清水銀行1行だけとなっている。

<まとめ>
 SBIは金融持株会社。商号のSBIは元ソフトバンクグループの金融関連企業として設立されたため「SoftBank Investment」の略。その後、同グループを離脱し独立。今はネット証券やスマートフォンを通じた金融サービスに加え、最近では地方銀行への出資や提携により、事業分野を拡大している。

 今回、新生銀行をTOBのターゲットとしたのは、新生銀行が個人や小規模事業者を対象とした融資などSBIにはない強みをもっており、総合的な金融グループを目指すことが目的と見られる。22日までの両社の株価の動きからは厳しい状況となっているが、はたして、今日以降どのような動きを見せるのだろうか。

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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

(後)

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