【衆院選2021】自民・原田義昭氏にマルチ「広告塔」疑惑 福岡5区
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保守分裂で野党に勝機?
10月31日に予定される次期衆院選。福岡県内の選挙区で最も注目されているのが、「福岡県第5区」だ。選挙区域は福岡市南区の一部、筑紫野市、春日市、大野城市、太宰府市、朝倉市、那珂川市、朝倉郡。有権者数は約45万5,000人。
前回衆院選(2017年10月)の投票率は55.92%で、自民党・麻生派の原田義昭氏(77)が12万3,758票を獲得し、希望の党から立った楠田大蔵氏(現・太宰府市長)と日本共産党の田中陽二氏を抑えて8回目の当選をはたしていた。
今回、立憲民主党は同区に堤かなめ氏(60)を擁立、野党統一候補として原田氏に挑むとみられていたが、自民党福岡県連内の候補者調整が不調に終わったことで勝利する可能性も出てきている。
マルチと原田氏の深い仲
原田氏とともに自民党公認を目指していたのは、2019年に福岡県議会議長を務めた栗原渉県議(56)。自民党本部は現職優先の原則を貫いて昨年12月に「原田氏公認」を発表。しかし栗原氏も「政治生命をかける」などとして譲らず、無所属で立ったうえで勝利して自民党公認を“もぎ取る”構えをみせていた。
保守分裂は対立候補が漁夫の利を得ることもあるものの、「分裂して鎬(しのぎ)を削るときの自民党は強い」とみる政界関係者は多く、堤氏の出遅れもあって予断を許さない状況だ。
公認を得たことで一歩先んじる原田氏だがしかし、地元での評判は芳しくない。もともと高齢・多選批判を受けていることに加えて、最近では週刊誌報道による「疑惑」に眉を顰(ひそ)める支持者も増えた。一部週刊誌などが報じているのが、マルチ商法疑惑のかかる(株)ジェイコスメ・ジャパン社(品川区/以下、ジェイコスメ社)と原田氏との深いつながりだ。
ジェイコスメ社は、2014年に現代表の菅原淳司氏が設立した、主に化粧品販売を行う企業。会員登録して化粧品を購入することを基本に、高い配当を謳って規模を拡大してきた。会員は一口10万円の出資で、1年満期14万ポイントの配当が支給される。ポイントは現金への交換も可能なことから、高い利率(約40%)目当てにほとんどの会員が換金を選んでいるという。さらに同社は仮想通貨の販売にも乗り出し、こちらでは3割の配当を謳っている。
会員を集めると紹介料を受け取れる仕組みもあって同社は短期間で急成長し、販売用資料には会員数5万人超、出資金400億円以上などの記載がある。しかし、配当を生むためには配当率以上の利益を生むことが必要なのは明白で、それがない以上は集めた金を配当に充てる自転車操業に陥るのは他マルチ商法と同様だ。新規会員の減少はいずれ配当の遅れとなり、配当支払いを求める訴訟に発展する。実際、同社をめぐってはすでに、東京や福岡などで集団訴訟が提起されるに至っている。
原田義昭氏が顧問弁護士
マルチ商法は会員を拡大し続ける宿命をもつため、頻繁に会員勧誘パーティーなどを開催している。さらに有名芸能人や政治家などを「人寄せパンダ」として多用するのも共通した手法だ。ジェイコスメ社も芸能人が参加するパーティーを頻繁に行って会員拡大していた。そのなかに名を連ねていたのが原田氏だった。
原田氏は弁護士資格をもっており、同社顧問弁護士としてパンフレットに掲載されている。「現役国会議員が顧問ならば、間違いはないだろう」と考えて入会した会員もいるため、一部週刊誌などが原田氏の責任を追及する事態となっている。原田氏は8月13日、自身のFacebookで見解を発表、「(関わりをもった企業が)起こす刑事民事の法的問題に対して、〈宣伝塔〉になったとして責任を問われることは絶対にない、何らの因果関係がない」と釈明するとともに、こうした報道を「選挙妨害」などとして激しく非難している。
さて、有権者はどう判断するのか。
【特別取材班】
※ジェイコスメ・ジャパン社の情報をお持ちの方は編集部(hensyu@data-max.co.jp)までお寄せください。
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