中国経済新聞に学ぶ~恒大集団の破綻危機が意味するもの
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最近中国で、不動産大手の恒大集団が経営破綻の危機に瀕しているという経済界を揺るがす事態が発生している。
資産総額40兆円、従業員20万人を数え、中国の不動産大手3社の1つである恒大集団は、全盛期は年間売上高が12兆円に達し、世界ランキング122位に数えられていた。しかし、多重の負債をかかえて経営困難に陥り、9月12日に数千人の債権者が深圳の本社に押しかけた。
転落の原因は、むやみな業務の拡大である。不動産で名を上げた恒大は、ここ何年かの不動産バブルで巨額の利益を得て、まるで悪魔のようにエコカーやビッグデータ、ヘルシー関連、そして金融へと事業を拡張していくが、これらの事業の利益がまだ生まれない段階で、中国政府による不動産業務への規制が始まった。集団の柱である不動産事業が冬の時代を迎えたことで、債務の返済が不能になり、苦境に立たされている。
その根源であるが、中国政府がビジネス界に対して「大きく強く」という呼びかけを発した10年前、力のある会社がこぞってむやみな事業拡大を図り、売上・利益をひたすら求め始めた。政府としてはそれぞれ業界内で「大きく強く」してほしかったのだろうが、ほとんどの会社がほかの業種に手を付けた。
「木の上で死んではいけない。東は暗くても西は明るい」と言い、儲けの出る業種はどこかにあるものとみていた。しかし、人も会社もスキルや力に限界があって、万能な聖人ではなかったのである。恒大も本業のみに専念していれば、こうした危機に陥ることもなかったのではないか。
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恒大集団経営危機、投資=債務拡大による成長ストーリーの終焉を告げる桐一葉2019年、深圳の実業家代表団を引き連れて住友商事を訪れ、400年以上歩み、今も存続している秘訣を尋ねた。
住友商事は17世紀に住友政友が京都に書林と薬舗を開いたことに始まった。同じ頃、京都で銅吹き(銅精錬)と銅細工業(屋号:泉屋)を営んでいた政友の姉婿、蘇我理右衛門は、粗銅から銀を分離する精錬技術「南蛮吹き」を苦心の末に開発した。そのため、大阪は日本の銅精錬業の中心となった。
住友氏が亡くなる前に残した「文殊院旨意書」が、1882年に初めて家法としてまとめ上げられた。住友家は「一時の機に投じ、目前の利に走り、危険の行為あるべからず」を家訓とした。
これは今でも受け継がれており、住友商事は「我が営業は、時代の移り変わり、財貨運用の損得を考えて、拡張したり縮小したり、起業したり廃業したりするのであるが、いやしくも目先の利益に走り、軽々しく進んではいけない」を原則としている。
二十代以上、400年近い歴史を誇る住友グループ。栄枯盛衰を乗り越えていまだに時代の先端にいる。それは「利益に走らず本業を確実にこなす」という家訓を数百年間も受け継いでいるからなのである。
この家訓は日本企業だけなく、中国企業にとってもいい導きとなる。王者であった恒大の没落理由を振り返れば、目の前の利益に惑わされて事業の根幹を維持できず、むやみな拡張で借金を重ねてあらん限りの利益を求めたからである。
中国は改革開放の後、ずいぶんと優れた企業が生まれた。アリババをビジネスや金融の王者に仕上げたジャック・マーは、5年前に社員に対し、「創業百年の会社を目指す」と言った。しかし、創立からまだ20年余りしか経過していない今、瓦解の危機にあえいでいる。
恒大が崩れたことは、中国企業からすればプラスなのではないか。痛みを経験したことで、会社は「事業」としてやっていかないと長くは続かないものだとわかった。単なる金稼ぎの道具としたなら、いずれはついえてゆくのである。
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