中国経済新聞に学ぶ~恒大ショックで不動産業界への不安高まる(前)
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中国の不動産大手「中国恒大集団」の経営危機がにわかに注目を浴びている。
中国恒大集団は1996年に広東省広州市で、董事局主席(会長)の許家印氏が創業した民間の不動産開発企業だ。現在、中国最大の不動産企業と言われている、従業員数は16万人を超える。
不動産開発には多額の資金が必要な上に、電気自動車製造、サッカークラブなど経営の多角化を進めるために、さらなる借り入れや外債を中心とした債券発行を行った結果、同社の負債は増加していった。
恒大集団が公表した報告書によると、現在の負債総額は1兆9,665億元(約34兆円)と巨額だ。中国の名目国内総生産(GDP)の約2%に相当する負債を抱える企業が無策のまま破綻すれば、その影響は計り知れない。
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恒大集団経営危機、投資=債務拡大による成長ストーリーの終焉を告げる桐一葉(前)9月20日、同社のデフォルト(債務不履行)懸念を受け株価が急落。10月12日、恒大集団は社債の利払いを再び見送った。過去3週間で3回目の利払い見送りとなった。ショックは欧州、米国、そして連休明けの日本にも波及し、世界同時株安の様相を呈した。
一部世論では、「第2のリーマン・ショック」「中国経済崩壊」を懸念する声も聞かれる。恒大ショックで中国経済は危機に陥るのだろうか。
なぜ、恒大集団は経営破綻危機に陥ったのか。中国政府の不動産規制強化が危機の引き金となった。中国政府は2020年8月、デベロッパーに対し資金調達の制限に関する指導を行った。そこで示されたのが、「三条紅線(3つのレッドライン)」と呼ばれる基準だ。
(1)(物件前売りで得る資金を除く)資産負債比率が70%以下
(2)自己資本に対する負債比率が100%以下
(3)短期債務を上回る現金保有(現金÷短期債務>1)この3つの基準の達成数に応じて、デベロッパーを「緑(3つ達成)」「黄(2つ達成)」「オレンジ(1つ達成)」「赤(すべて未達)」の4グループに区分し、年間の有利子負債の増加額を「緑」は15%以内、「黄」は10%以内、「オレンジ」は5%以内に抑え、「赤」は増加を認めないという内容だった。この基準を1つも達成できていなかった恒大は「赤」に分類され、資金調達が困難となる。
恒大集団が危機に陥った大きな原因のもう1つは、政府の政策を見誤ったことである。 不動産業界は過去30年間、中国経済を支える3本柱の1つであり、生活や国民の「幸福感」に関わるものであった。よって政府は常に、経済を成長させるために不動産市場の発展を維持することを常に考えていた。
中国の不動産バブルは、かねてから世界の金徼界や経済界で取り上げられていた。中国政府は08年のリーマン・ショック後に4兆元(約70兆円)規模の救済策を打ち出したが、民間企業には回らず、ほぼ全部が大手国有企業にわたってしまった。国有企業はあたかも宝くじに当たったかのように、一夜にして莫大な資金を手にし、次々と不動産に手を付け始めた。
(つづく)
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