岸田自民党は「無法集団」か!?~UR口利き疑惑の甘利明幹事長が公選法違反濃厚の虚偽発言
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野党が要求する予算委員会審議を拒否して「逃げ恥解散」(立憲民主党・枝野幸男代表)に踏み切った岸田政権が恥じらいもなく、公選法違反の疑いのある虚偽発言(デマ)を繰り返し始めた。UR口利き疑惑の説明責任を十分に果たさない甘利明幹事長の「体制選択選挙」発言のことだ。
甘利幹事長は総選挙告示日の10月19日、「参院静岡補選」(10月24日投開票)の応援演説も兼ねて、深沢陽一候補の出陣式に駆けつけ、次のように訴えたのだ。
「今回の選挙は、衆議院選挙ですから政権選択選挙です。多数を出した方が総理大臣を出しますから政権選択です。でも、もう1つ、違う思想がダイレクトに入ってくる。我々が許容できない発想が入ってくる。日本史上、共産党の意思決定が部分的であるにせよ、政府の意思決定になる。史上初めての選挙になるわけです。だから、この選挙は政権選択選挙を超えて、体制選択選挙になるのです」
甘利幹事長は10月17日のNHK「日曜討論」でも、共通政策合意に基づく野党4党(立憲・共産・社民・れいわ)の選挙協力で枝野政権が誕生した場合、「(共産党と)限定的といえども閣外協力をする。政府の意思決定のなかに共産党の意思が入ってくる。自衛隊や天皇制に対する考え方がまったく違う。体制選択選挙になる」と主張していたのだ。
出演していた立憲の福山哲郎幹事長は「安全保障の問題については共産党とは異なる形」と強調すると、共産党の小池晃書記局長も「(野党4党で)国政全般にわたる共通政策を確認。独自の政策立場は持ち込まないと明言している」と反論した。
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れいわ山本太郎代表、新越谷駅前で街頭演説~「岸田政権打倒」呼び掛け甘利幹事長の「体制選択選挙」は明らかな虚偽発言だ。総選挙に向けた野党共闘(選挙協力)を例えていえば、“巨大自公食堂”に競い勝つために野党は“共同食堂”を開設、各党独自メニューから最大公約数的な共通メニュー(政策)を指し示した。しかし甘利幹事長は、野党食堂の共通メニューに不採用の共産党独自メニューに文句をつけているようなものなのだ。自公と野党でどちらのメニューが魅力的なのかを競い合っているときに、不採用のメニューが実存していると勘違いしてケチをつける「夢想家」ともいえる。
野党共闘で枝野政権が誕生しても、共産党の独自政策である天皇制や自衛隊の問題が与党の政策課題にはならない。20項目におよぶ野党共通政策のなかには盛り込まれていないからだ。
公職選挙法には「当選を得させない目的をもって公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者に対して4年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処する」とある。現実には起こりえない絵空事(虚偽発言)を討論番組や演説会で口にした甘利幹事長が公選法違反に問われる可能性は十分にあるのではないか。
「岸田自民党は選挙で勝つためには法律違反も厭わない無法集団と化したのか」という疑問が沸き起こるなか、清水駅前での応援演説を終えた甘利幹事長を直撃。「体制選択選挙になるのか。(共産主義体制への移行をする)共産党政権になると枝野さんは言っていない。共産主義体制になるのか。嘘八百ではないか」と問い掛けたが、甘利氏は無言のまま、車に乗り込んだ。
無回答だったので甘利幹事長を追いかけて県西部の磐田市にまで移動。ここでは、静岡3区の自民党公認の宮沢博行候補と若林候補への応援を兼ねる街頭演説会だったのだが、ここでも甘利幹事長は公選法違反の疑いのある虚偽発言(絵空事)を繰り返した。
「今回の選挙は一対一の大激戦。私の選挙区(神奈川13区)も(静岡3区と)同じ状態です。立憲民主党と共産党が候補者を一本化し、限定的ではあるけれども閣外協力を宣言している。共産党と閣外協力を宣言した。これは明確な事実です。それはすなわち、彼らが政権を取った後には、共産党が政府の政策決定に限定的ながら最初から入ってくることを意味する」「共産党は現行の天皇制制度に反対をしている。これをいうと猛烈に反論をしてきます。しかし明確に、改正をされた共産党の綱領には『1人の個人が世襲で国民統合の象徴になるのは民主主義の視点から言っておかしい』と明確に言っているわけです。我々の日本人の長い歴史を、精神性をしっかりと支えていただいた天皇制を否定する。制度としての天皇制を否定する政党が政権の意思決定に入っていくことを、我々は認めるわけにはいかない」
繰り返しになるが、野党共通政策に天皇制見直しは入っていない。枝野政権が共産党と限定的な閣外協力をしても、天皇制見直しが与党の政策課題になることはありえない。野党共通食堂に存在しない架空のメニューをデッチ上げ、店の評判低下を狙って誹謗中傷する甘利幹事長は、“夢想家クレーマー”と呼ぶのがぴったりではないか。
「体制選択選挙」がお気に入りの甘利幹事長は、磐田市でもこう締めた。
「衆議院選挙は政権選択選挙です。しかし今回は日本の政治史が経験をしてなかった、限定的にせよ、共産党の意思決定が入っていくわけです。だから政権選択選挙を超えて、体制選択選挙まで進むと警鐘を鳴らしているわけであります。(野党が)反発をするのは、まさに痛い所を突かれるからではないか」
甘利幹事長は空想力豊かなナルシストでもあるようだ。野党が反論するのは事実無根の虚偽発言であるために違いないのに、急所を突いたと勝手に思い込んでいるためだ。
驚くべきことに、自民党候補も体制選択選挙を受け売りした。応援された宮沢候補もこう訴えたのだ。
「甘利幹事長が言った通り、政権選択選挙、それから体制選択選挙。私たちが営々と積み重ねてきた、この2500年の歴史を否定され、これからも間違った日本をつくられる可能性がある」
宮沢氏も枝野政権が誕生した場合、天皇制見直しなどが進むと本気で信じ込んでいたようなのだ。岸田自民党は、「法律違反をしても選挙に勝てばいい」と考える無法集団に変質したといえるのではないか。甘利幹事長の「体制選択選挙」を有権者がどう受け止めるのかが注目される。
【ジャーナリスト/横田 一】
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