2024年11月22日( 金 )

確かな技術に大手ゼネコンも一目置く 専門建設業のプロ集団としての実績と誇り(中)

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中村工業(株) 代表取締役 中村 隆元 氏

 1906年の創業から100年以上にわたり、福岡の成長をたしかな技術で支え続けてきた中村工業(株)。とび職人たちが集まってスタートした同社は、今や建設業全般を幅広くカバーする一流の専門建設企業として存在感を示している。九州大学伊都キャンパスや福岡高裁庁舎などの公共施設、MARK IS(マークイズ)福岡ももちなど、幅広く手がける実績はほかの追随を許さない。また、近年頻発する自然災害の復旧工事でも、同社土木部門のたしかな手腕が高く評価されている。2015年、この名門企業の5代目トップに就いた中村隆元氏に、同社の強みとこだわりについて聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)

中村工業(株) ――地場ゼネコン側にはどのような利点があるのでしょうか。

 中村 技術力の向上と、大きなプロジェクトに関わる達成感ですね。やはり、地場ゼネコン社員には同じような建物ばかりつくっていても楽しくない、という意見があるようです。街のランドマークになるようなシンボリックな建築に携わりたい、挑戦したいという社員の熱意ですね。そういう意味で、建物の用途を増やしたいと考えている地場ゼネコンも多いです。マンション、病院、商業施設などいろいろな建物をつくりたい。社員の離職率を下げる意味でもいろいろな挑戦をしたい、という地場ゼネコンの声を聞きます。

 ――貴社の場合はスーパーゼネコンと直接仕事をしていますから、そこは違いますね。

 中村 そうですね。ありがたいことです。「福岡ならこことあそこと…」といえます。

 ――最近は、地場ゼネコンにも意欲的な設計をする社員が増えているとも聞きました。福岡には昔からスーパーゼネコンの支店がありましたから、街の規模に比べて地場ゼネコンが十分に育たなかったという面もあるでしょう。

 中村 大分や佐賀では、大きな地場ゼネコンが活躍していますね。

 ――スーパーゼネコンと地場ゼネコンの受注割合はどの程度ですか。

 中村 全国的に見ると、約60%が(一社)日本建設業連合会加盟の大手ゼネコン、約40%が地場ゼネコンです。九州はもっと地場ゼネコンの割合が多くて、各企業に聞くと、「地場ゼネコンさんの仕事がたくさんあるから、大手ゼネコンさんに頼る必要がない」という話でした。北海道や東北などと比べても、圧倒的に九州は地場ゼネコンの割合が高いですね。

再開発が描く天神・博多の未来

 ――今、天神や博多の再開発事業が花盛りの福岡都市圏ですが、今後はどのように変化していくとお考えですか。

 中村 当社の3代目(中村勝重氏)が社長になったのが1970年、30歳のときでした。当時、60年末に竣工した天神ビルを皮切りに、「天神5現場」といわれた福岡銀行本店ビル、天神センタービル、電気ビルなど、天神一帯の再開発が進んでいました。地元財界の働きかけもあって、(株)竹中工務店さんが天神に足場を築き、清水建設(株)さんは博多駅周辺の開発を手がけるようになりました。竹中工務店さんの九州支店には天神街区の模型がありますが、「こんなに竹中さんが建てた物件があるのか」と驚きますよ。当社と竹中工務店さんとのお付き合いは、ここから始まりました。

 天神再開発は、まずは解体工事が進んでいますが、新築をどこのゼネコンがやるのかが決まっていないプロジェクトも多いようですね。福ビルの解体が2024年までかかり、その時期にIMSの新築が始まります。天神センタービルや西鉄グランドホテル周辺のプロジェクトも控えています。その先には天神ビル、福岡銀行本店ビルなどのエリアにも注目していく必要があるでしょう。

 ――博多駅近辺も盛んに動きがありますね。

 中村 西日本シティ銀行本店の解体が終わって、新築は22年の夏ごろ着工ですね。それから、ANAクラウンプラザホテル福岡がある住吉通り沿いの一帯にも再開発の動きがあるようです。博多駅は筑紫口も博多口にも再開発プロジェクトがあります。どちらも地下がある前提ですからね。当社としては、地下工事の技術には自信がありますから、そこに特化して貢献していきたいと考えています。

 ビルの地下は、インフラなど解体と新築の双方に大きく関わります。地上部分の解体と新築はそれぞれ別のゼネコンが担当することが多いですが、地下については当社が解体・新築を一貫して技術提案しながら進めるケースも増えています。

(つづく)

【文・構成:深水 央】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:中村 隆元
所在地:福岡市中央区舞鶴3-2-6
設 立:1947年5月
資本金:6,000万円
売上高:(21/3)79億7,641万円


中村工業(株) 代表取締役 中村 隆元 氏<プロフィール>
中村 隆元
(なかむら・りゅうげん)
1975年1月生まれ、福岡県春日市出身。中村学園三陽高校、福岡建設専門学校卒。学生時代はラグビーに勤しむ。2015年に中村工業(株)の代表取締役に就任。趣味は水泳、マラソン、仲間との酒飲み。

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