業界仰天!スーパーゼネコンの大成建設前社長・村田氏がハウスメーカーの大和ハウス工業副社長に転身(前)
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今年、ゼネコン業界の話題をさらったのが、スーパーゼネコン・大成建設(株)前社長だった村田誉之氏のハウスメーカー・大和ハウス工業(株)副社長への転身。業界人を仰天させた。
大和ハウスは「スーパーゼネコン化」が狙い
今年5月14日、大和ハウス工業(株)は大成建設(株)前社長・村田誉之氏を6月29日付で副社長・技術統括本部長に招くと発表した。村田氏は2015年4月から大成建設の社長を務めた後、20年6月に副会長に就いていた。
東洋経済オンライン(7月19日付)は、「大成建設の副会長、大和ハウスへ電撃移籍のわけ 大手ゼネコンからハウスメーカーへ異例の転身」と題してレポートした。
〈「え、まさか」。5月14日、ハウスメーカー最大手、大和ハウス工業の本社(大阪市北区)にある会議室で、驚きの声があがった。(中略)「大物」の移籍の知らせに、出席した役員の多くが目を丸くした。〉
〈役員会の後、村田氏の副社長就任が公表されると、業界関係者はいっせいにざわついた。「このようなトップ人事は聞いたことがない」(複数の業界関係者)。〉
関係者が驚愕したのも無理はない。スーパーゼネコンから「格下」のハウスメーカーへの移籍は極めて異例だからだ。
村田氏を副社長として招聘した狙いは何か。東洋経済オンライン(7月21日付)は続報で、大和ハウス工業の芳井敬一社長のインタビュー記事を掲載した。
大和ハウスの2021年3月期の売上高は4兆1,267億円。創業者・石橋信夫氏の“遺言”である「創業100年を迎える2055年に売上高10兆円」を長期目標に掲げる。
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「我が世の春」も終わりか、スーパーゼネコン5社が減収減益(前)芳井社長は「住宅の心をもったゼネコンという方向に向いている」と語る。3,000億円の営業利益のうち、6割以上を物流センターなどの事業施設と商業施設セグメントで稼ぎ出す。ハウスメーカーの枠を飛び越え、スーパーゼネコンの様相を呈している。
大和ハウスの「スーパーゼネコン化」。これがスーパーゼネコン・大成建設の前社長、村田氏を副社長に招聘した理由だった。
社運を賭けて挑んだ新国立競技場の建設
大成建設は15年4月1日、社長が交代した。村田取締役常務執行役員が社長に昇格し、山内隆司社長が代表権のある会長に就いた。
学歴でいえば、ゼネコンの「保守本流」は東京大学工学部建築学科卒。大成建設の山内会長、村田社長は建築学科の先輩後輩で、内田祥哉・東大名誉教授の門下生。門下生たちは内田先生のところに集まり、ゴルフを楽しむというのだから、OBたちの結束は強そうだ。
村田社長の使命は、国立競技場の再開発案件の受注。1964年の東京オリンピックのメイン会場となった国立競技場は大成建設が建設した。2020年の東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設は、社運を賭けて取りたい案件だった。
12年、東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会は、国立競技場を8万人収容のスタジアムに改築し、開閉式の会場とする計画を発表した。
この年に開かれた国際コンペで、英国の建築家ザハ・ハディド氏による特徴的なデザインを選定した。しかし、巨大な2本のアーチなどの斬新なデザインに加え、資材費・人件費の高騰もあって整備費が膨張。政府は15年7月、整備費を2,651億円とする整備計画をいったん了承したが、巨額の整備費が批判を浴び、当時の安倍晋三首相が白紙撤回を決めた。
(つづく)
【森村 和男】
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