【衆院選2021】自民・福岡の独占崩れる 立憲民主党の県連代表候補に城井崇氏(前)
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10月31日に投開票された第49回衆議院議員総選挙。14日の解散から投開票までわずか17日の戦後最短となった選挙戦。福岡は自民党の独占が崩れた。注目された投票率は55.93%(共同通信社調べ)と、戦後3番目に低い数値に落ち込んだ。
福岡では“自民独占”崩れる
福岡県内11の小選挙区のうち、前回2017年選挙ではすべての区を自民党が獲得していた。今回、自民党は5区(福岡市南区、筑紫野市、春日市など)、9区(八幡西区など)、10区(小倉北区など)の3区を落とし、全11区で獲得した票は110万7,455票と前回から8万2,590票減らしている。有権者数は17年から約200人減の422万7,512人で、投票率は福岡2区のみ微増したものの、それ以外はすべて17年よりも下がり、全体として盛り上がりに欠けた選挙戦だったことがわかる。
一方、前回より投票率が落ちた5区、9区、10区のすべてで自民党が敗北したことからは、「投票率低下=組織票で勝る自民党が優位」という定説が成り立たなくなっていることもうかがえる。5区と10区では野党共闘(組織力)が勝利を下支えしたものの、9区では無所属で野党共闘もなかった緒方林太郎氏が現職の三原朝彦氏に勝利しており、緒方氏の支援者からは「真摯に有権者に向き合うことに勝る選挙活動はないことが証明された」との声も上がっていた。
【2区】稲富氏、またもや小選挙で泣く
自民前職の鬼木誠氏と立民前職の稲富修二氏の事実上の一騎打ちとなった福岡2区は、鬼木氏が辛くも稲富氏を振り切り4選目を決めた。稲富氏は前回同様に比例で復活当選。今回、共産党は候補者の擁立を見送って稲富氏を野党統一候補として支援するかたちをとった。選挙前の情勢調査などでは菅政権への逆風に加え、野党共闘効果で稲富氏がリードする展開。しかし、岸田内閣に変わってからは政権批判の風がひとまず止んだこともあって鬼木陣営が盛り返した。
さらに鬼木陣営としては初めて、九電系通信企業のトップを頭に据える強固な後援会を組織したことで徐々に差が詰まり、選挙戦終盤では稲富氏を振り切って最終的には約8,100票差と前回とほぼ同じ差をつけた。今回の選挙で躍進した日本維新の会から立った新人の新開崇司氏が約2万7,000票を得ており、自公政権への批判票が維新(新開氏)に流れたと仮定するならば、稲富氏側に不利に働いた可能性もある。
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福岡5区は、選挙直前まで自民党系候補の2人が公認争いで真っ向から対立し、「保守分裂」区として全国的にも注目を集めた。結果的に、自民党本部で岸田総理まで出席したなかで裁定が行われ、現職の原田義昭氏が公認を得て、無所属での立候補も口にしていた元福岡県議会議長の栗原渉氏は立候補を断念した。公認決定にあたっては現職優先の原則を維持したことに加え、データ・マックスが選挙直前にスクープした栗原氏のヤミ献金疑惑も影響を与えたとみられる。
もっとも、自民党地域支部のほとんどが栗原氏支援を決定していたため、選対本部は最後までまとまりに欠けた状況だった。栗原氏の出馬を推していた福岡県議のなかには「(投票用紙に)栗原と書く」と公言する者までおり、公明党の母体である創価学会が原田氏を敬遠して自主投票を決めたことなどもあって、必勝態勢にはほど遠いのが実情だったという。
こうした自民党の内紛も味方するかたちで勝利を手にしたのが、女性問題やジェンダー論の専門家で元県議の立民・堤かなめ氏だった。堤氏が勝利した背景には当然、日本共産党との野党共闘効果があったものの、選挙前の情勢調査では栗原氏がトップを維持していただけに、勝因は「自民党福岡県連の自滅」だったことは間違いない。
5区での敗戦については公認を決めた党本部の責任とする見方がある一方で、栗原氏の後ろ盾だった自民党福岡県連の藏内勇夫・常任相談役の責任を問う声も出始めている。自民党・福岡は今回の衆院選で3つの議席を落としており、とくに5区の敗戦責任を総括せずに放置することは許されるべきではない。
(つづく)
【総選挙取材班】
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