2024年07月16日( 火 )

いつまでも住み慣れた地域で暮らすために

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福岡市議会議員 調 崇史 氏

高齢化進展により生活の足が問題に

 福岡市議会に初めて議席を頂いた平成23年(2011年)以降、市民の皆さんが「いつまでも住み慣れた地域で暮らすために」というテーマを自身のライフワークと思い定め、取り組んできました。

 私の家族が住む金山団地は昭和30年代後半から丘陵地を拓いて建てられた公団住宅。城南区でも高齢化が進展し、多くのお年寄りが丘のふもとに立地するスーパーや病院に出かけるために西鉄の路線バスを利用しています。

 丘の中腹にあるバス停から1区間乗車してふもとに下り、用事が済めばまたバスで中腹へ。私はこの10年間、1人でも多くのお年寄りが日常生活を維持できるようバス停にベンチを設置したり、雨の日にできるバス停の水たまりを解消したりと細かな目配りに努めてきましたが、最近ではもはやバス停への道のりを歩くことすら困難になったという悲痛な声が聞かれるようになりました。従来の公共交通だけでは住み慣れた地域での暮らしを支えることができなくなってきています。

 同じことが自家用車への依存度が高い地域を中心に、市内の各地で起きています。高齢ドライバーによる事故が相次ぐ中で運転免許証の返納が勧奨されていますが、油山の山裾でも、都心近くの高台にある住宅街でも、自家用車を手放した途端に日常生活の維持が困難になるケースが見られるようになっています。私のふるさとである梅林のまちでは、高台の自宅を売り払って都心のマンションなどに転居する高齢者の話を度々耳にします。

市民が住み続けられるまちづくりを

福岡市議会議員 調 崇史 氏

 こうした中、私は議会質問の機会のたびに、待ったなしの課題として「生活交通の確保」に取り組むべきとの主張を繰り返してきました。最近では行政当局も危機感を強め、スピード感をもって様々な検討を加えるように変わってきました。また、所属する自由民主党福岡市議団でも「生活交通プロジェクトチーム」を発足させて、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を1つの目標に、高齢者の日常生活を支える新たな交通手段の確保に道筋をつけるべく精力的に取り組んでいます。

 モデルケースとして注目しているのが、西鉄が中心になってアイランドシティや西区の橋本地区で試験的な運行を進めているオンデマンド交通「のる~と」であり、自宅近くのポイントと買い物先や医療機関、公共交通の乗り口を結ぶなど、小回りがきいて安価で利用できる交通手段です。こうした新たな交通手段を、民間の採算ベースにのせた持続可能な形で普及させる必要があります。

 SDGsの第11の目標は「住み続けられるまちづくりを」。この目標を実現に近づける一歩を福岡市から踏み出していきたい。そんな意欲に燃えています。


<プロフィール>
調 崇史
(しらべ たかし)
1978年福岡市生まれ。福岡県立修猷館高校卒業、九州大学法学部卒業。民間会社勤務、元福岡市長秘書を経て、2011年に福岡市議会議員初当選(城南区、現在3期目)。19~21年自民党市議団政調会長を務める。ホームページ:http://www.t-shirabe.net

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