地域医療を支え、さらにその先へ 病院がはたす新たな役割を探る
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(医)輝栄会 福岡輝栄会病院 理事長・院長
中村 吉孝 氏コロナ禍で改めて知る医療の大切さ
1961(昭和36)年に小児科医院として設立され、以来60年にわたって地域医療に貢献している(医)輝栄会・福岡輝栄会病院。2018年には創業の地の香椎を離れ合計259病床を備える新病院を東区千早に新築、移転をはたした。
SDGs目標3「人々に健康と福祉を」――同院では、常に患者が気楽に足を運べる“地域に根差した病院”であることを目指し、ソフト面・ハード面の診療機能を高め質の高い医療サービスを提供することに日々力を注いでいる。16年7月からは地域包括ケア病棟の運用を開始したほか、「トリニテ松崎館」「トリニテ千早館」という2つの高齢者複合施設も運営し、地域包括ケアシステムにも積極的に取り組んでいる。
また、地域の救急・急性期医療の一環として深夜でも救急車や急患を受け入れる体制を整えるなど、他院ではなかなか担えないようなサービスを充実させ維持してきた。いろいろな病院や事業所、診療所のサポートを行いながら、良質な医療の提供で住み続けられるまちづくりに努める。そうした地域のパートナーシップを奨励・推進する取り組みにおいて、同院はSDGsの達成に大きく寄与しているといえる。
20年から本格化した新型コロナ禍では、福岡県の要請に応え、同院のHCU(ハイケアユニット)を4床の新型コロナ専用病床として患者を受け入れた。2021年10月末をもって要請が解除されたため、現在は通常の運用に戻っているが、筆者の「このコロナ禍で、改めて医療を受けられることのありがたさを思い知りました」との言葉に、「病院が患者さんを診るのは、当たり前のことですから」と穏やかな笑顔で答える中村吉孝理事長。胸に抱く理想は、常にその「当たり前」の一歩先にある。
社会的困窮に病院としてどう向き合うか
「日本は平和で、衛生的で、医療が使いやすい安心な国です。でも、世界には経済的な事情などで医療にアクセスできず、日本だったら失われなくてもいい命が失われてしまう国がたくさんあります。つまり、医療面での格差が大きいわけですね。20年前、30年前と比較しても、この格差は埋まっていません。国連がSDGsの目標の1つに医療を掲げ、注目しているのはとてもいいことです。一方、日本国内では、経済的な格差、教育的な格差、メンタルヘルスの問題や社会からの孤立など、医療以外の面での格差が広がっています。病院としての立場で、この社会的な困窮を克服するためのアクションを取ることができればと考えています」と語る中村理事長。今後も東区の中心地・千早の地で基幹病院としての役割をはたすとともに、社会的課題の解決に向けた新たな取り組みを模索していく。
<INFORMATION>
理事長:中村 吉孝
所在地:福岡市東区千早4-14-40
設 立:1961年1月
TEL:092-681-3115
URL:http://www.kieikai.ne.jp
<プロフィール>
中村 吉孝 (なかむら よしたか)
1960年生まれ。85年に福岡大学医学部を卒業後、同大学病院の第2外科に入局。その後、九州大学生体防御医学研究所や九州がんセンター、天理よろづ相談所病院などを経て、91年に中村病院(現・福岡輝栄会病院)に入職。93年の同院副院長を経て、95年から同院長。2007年に(医)輝栄会理事長に就任した。法人名
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