2024年11月14日( 木 )

オミクロン変異株により世界は再び危機に襲われるのか(前)

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劉 明鎬 氏

オミクロンショック

オミクロン株 イメージ    これまで新型コロナウイルスに世界で約2億6,500万人が感染し、約525万人が死亡している。その一方でワクチン接種も進んでおり、徐々に日常生活に戻れるのでは、という期待感が高まっていたのも事実で、「今後は渡航できる国が増えていくだろう」という楽観的ムードに包まれていた。しかし、南アフリカで初めて報告された変異ウイルス「オミクロン株」により、世界中がコロナ再流行におびえている。オミクロン変異株は瞬く間にヨーロッパを始め、アジア、北米で急速に広がったからである。オミクロン変異株が全世界で猛烈なスピードで感染拡大しているなか、各国ではウイルスの流入を防ぐため、再び入国の全面制限などの措置を講じている。

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 ワクチン接種率約87%と欧州で最も接種率が高いポルトガルで、オミクロン変異株の集団感染が発生し、世界中にショックを与えた。新規感染者数はここ1週間で3倍以上になり、検査の陽性率は2%から9%へと上昇した。世界保健機構(WHO)はオミクロン変異株により、世界中でコロナの感染者が急増する危険性が高まっていると警告を発した。

命名の背景は

 新型コロナの変異株にはそれぞれ名前がついている。今回の変異株の名前はB.1.1.529である。WHOではギリシャ文字のアルファベットであるアルファ、ベータ、ガンマなどの順番に従って、新型コロナの変異株に名前を付けてきた。今回の変異株は13番目の文字である「Nu(ニュー)」に命名するものと思われたが、WHOは「Nu」と、次の「Xi(クサイ)」を飛ばし、15番目の「Omicron(オミクロン)」を採用した。その背景について、様々な憶測が飛び交っているが、「Nu」は『new』と混同されやすいので、避けたものと受け止められている。また、ギリシャ文字の「Xi」は、発音が異なるものの、中国の習近平(Xi Jinping、シー・チンピン)国家主席の姓と似ているため、中国を配慮して飛ばされたと推測されている。

 オミクロン変異株は11月下旬に南アフリカで確認された。WHOは、その変異株について南アフリカ共和国から報告があった2日後の先月26日にオミクロン変異株を「懸念される変異株」(VOC)に指定した。

 オミクロン変異株以前にWHOが「懸念される変異株」に指定したのはイギリス発のアルファ変異株、南アフリカ共和国発のベータ変異株、ブラジル発のガンマ変異株、インド発のデルタ変異株などがある。

(つづく)

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