オミクロン変異株により世界は再び危機に襲われるのか(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏感染力と危険性
南アフリカの保健当局のデータによると、デルタ変異株が一般大衆に感染するまでの期間が100日だったのに対し、オミクロン変異株は何と20日しかかかっていないとしている。オーストリアの分子生物工学研究所の研究者による報告でも、現在世界の感染者数の多数を占めているデルタ変異株に比べて、オミクロン変異株の感染力は500%高い可能性があるとしている。
オミクロン変異株の感染力が高いと思われる理由として、オミクロン株はこれまでにないほど、スパイクたんぱく質に変異が多いことがあげられている。変異の多くは、ウイルスの表面にある突起状の「スパイクたんぱく質」に見られる。スパイクとは、ウイルスの表面を覆うウイルスタンパク質で、このスパイクタンパク質が人体の細胞に結合して感染を引き起こすが、スパイクタンパク質に変異が多い場合、人体の免疫細胞がつくった抗体を避けて、人体に侵入する可能性が高くなり、その結果、感染力が高くなる。また、ワクチンはスパイクを認識し、攻撃するよう人体に覚え込ませる働きをするが、スパイクに変異が多いと、ワクチンの攻撃も避けることになるので、ワクチンの効果が弱まってしまうという懸念がある。しかし、これはあくまでも理論的な分析であって、スパイクに変異が多いと、ウイルスの適用力を弱めることにもなり得るので、デルタ変異株より感染力は弱い可能性もあるという主張も一方ではある。 このようにオミクロン変異株はこれまでの変異株より感染力が高い可能性があると言われているものの、詳しいことはまだわかっておらず、同様に重症化リスクについても、わかっていない。
ワクチンの効果は
そうした状況下、既存のワクチンがオミクロン変異株に対し、いかなる効果があるのかに注目が集まっている。それを科学的に検証できるまで、早くても2週間かかる。しかし、オミクロン株が示している変異の状況からワクチンの効果が幾分低くなる可能性が高いことが示唆されている。
現在、世界各国でオミクロン変異株の検証が行われている。新しいワクチンが必要になった場合、ファイザーは100日以内に、モデルナ社は60~90日あれば新しいワクチンを開発できるとしている。このように時間があまりかからないのは、mRNAという新しいワクチンの開発手法によるものである。
世界の動きと今後の予想
日本は11月30日から、すべての外国人の新規入国を禁止した。米国も11月29日から南アフリカなどアフリカ8カ国を対象に渡航を制限する措置を取った。イスラエルも11月29日から2週間の間、外国人の入国を全面的に禁じている。
このように入国制限などが拡大されると、再び世界経済が低迷することにつながる。サプライチェーン崩壊の可能性を排除できず、新しい変異株が世界経済に打撃を与えるのではないかという懸念が高まっている。
オミクロン変異株の検証が終わるまで世界は再び新型コロナウイルスの脅威に晒されることになるだろう。韓国においてもオミクロン変異株に感染した患者が発生し、警戒感が高まっている。
(了)
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