2024年11月22日( 金 )

辺野古、TPP。議会演説で忠誠誓う安倍首相

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 NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、日本時間の4月30日未明、日本の総理大臣として初めてアメリカ上下両院の共同会議で安倍総理大臣が行った演説に関して、植民地総督が宗主国を訪れて忠誠を誓ったかのようだと指摘した4月30日付の記事を紹介する。


 安倍首相が米国議会でスピーチをした。内容を見ると、米国が日本に要求する項目について、すべて日本の意思で履行する誓約書を読み上げたものであると受け取れる。米国に対する服従と忠誠の宣誓書を読み上げるために、国民の血税を使ってわざわざ米国まで行ったということになる。米国の植民地日本の総督が宗主国を訪れて、忠誠を誓ったのが今回のスピーチと表現できるだろう。

 2012年12月の総選挙で
 「ウソつかない!TPP断固反対!ブレない!」としたTPPについて安倍首相は、
 「米国と日本のリーダーシップで、TPPを一緒に成し遂げましょう」と言い放った。

 「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」と明言しながら、「シロアリを退治しないで消費税増税を決定した」人物と基本的に同類である。彼らには民主主義など無縁の存在であるように見える。

 その安倍晋三氏がスピーチの冒頭で、「日本が、世界の自由主義国と提携しているのも、民主主義の原則と理想を確信しているからであります」と述べたのはブラックユーモアである。安倍首相は安保法制について、
 「この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟はより一層堅固になります」と述べた。

 日本の自衛隊を米軍の支配下に組み込み、米国が創作する戦争に日本が自動的に加担する体制を整えることを指している。スピーチの核はこの二点のみで、残りは意味のない情緒的な陳述ばかりであった。そして、これに先立って安倍晋三氏は、日米首脳の共同記者会見で辺野古米軍基地建設問題についてこう述べた。

 「在日米軍基地再編を着実に進める決意を確認した。普天間飛行場を辺野古に移設することで一日も早く危険性を除去する」

 沖縄県の翁長雄志知事は安倍首相との会談で、辺野古基地移設の意思をオバマ大統領に伝えて欲しいと要請したはずだが、日米首脳会談では、辺野古米軍基地建設の方針が確認されたのである。安倍-翁長会談は一体何であったのかを改めて考えなくてはならない。

 翁長雄志氏は、安倍首相との会談のあとの記者会見で、次のように述べたと報じられている。

 「私たちからすると、まだ大義名分も見えてこないので、やっぱり反対させていただくということは県民はじめ私もしっかり持っていると思う」(琉球新報)

 「大義名分が見えてこないから反対させていただく」と発言しているのである。「大義名分がみえてくれば」反対しないという意味なのか。また、「反対させていただく」というのは、紛れもない「下から目線」の言葉だ。「粛々と」が「上から目線」でよくないと発言する者が、自分から「下から目線」で発言していたのでは、言葉の迫力が皆無になる。

 沖縄では、依然として「翁長タブー」の空気によって、自由な発言が封殺されている。沖縄県民は覚醒するべきである。翁長雄志氏の公約は「辺野古に基地を造らせない」である。「辺野古に基地を造らせない」ための行動は、基地建設を黙認して、安倍首相と意味のない会話を続けることではないはずだ。知事権限で、知事選結果を踏まえて、まず、「埋め立て承認を撤回」し、速やかに検証作業を終えて、「埋め立て承認を取り消す」ことである。

 この行動を取らなければ、辺野古の海は着実に破壊されてゆく。「辺野古に基地を造らせない」ことを要請する、すべての沖縄県民は、翁長雄志知事に対して、「直ちに埋め立て承認を撤回し、速やかに埋め立て承認を取り消す」ことを強く迫るべきである。のらりくらりの対応で「辺野古に基地を造らせない」という公約が実現する可能性は薄い。沖縄県民は現実をしっかりと見定めて、翁長氏に毅然とした対応を求めるべきである。

※続きは、メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(有料)」第1135号「辺野古基地建設阻止には「翁長タブー」打破不可欠」にて。


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