2024年12月24日( 火 )

祖国(中国)にはもう帰らない

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在日中国人「帰国しない」

 筆者と長い付き合いの中国人夫婦A(帰化している)には1人娘がいた。この夫婦に以前、「娘さんを中国の大学に進学させるのか?」と尋ねたところ、普段温厚なご主人が「母国の大学には進学させない」と毅然とした態度で否定したのには驚いた。その後、娘はフランスに留学し、フランス人と結婚して子どもを2人設けた。

 A夫婦それぞれの両親は、母国で生活する中国人。この両親たちを1世としてみよう。2世になるA夫婦は「日本人」、3世にあたる孫は「フランス人」ということになる。

 A夫婦世代の中国は、驚異的な経済発展をなしていなかった。ところが今や中国はアメリカを凌駕するほどの超大国になったのである。最近、5組の中国人夫婦(日本滞在20年以上で子どもがいる。大半は日本生まれ)に「子どもを中国に進学させるか?」「いずれ夫婦ともに高齢になる。母国に帰るのか?」という2つの質問をしたところ、「子どもを留学させるとしたら中国以外に行かせる」「我々夫婦は日本に骨を埋める」との回答を得た。「自由な生活の恩恵を受けたのだから中国には戻れない」という理由で共通している。

金持ち・華僑の「集団脱出」時代が到来

マカオ イメージ    もう遅いかもしれない。中国の金持ち、華僑の集団移住は無理かもしれない。移住はできたとしても資産移転できる確率が非常に低くなったという意味である。

 「賭博・黄金の島:マカオ」は2022年、大きな曲がり角に立たされている。共産党幹部、全国の行政の高級官僚たちは「夢の島・マカオ」で裏金づくりの接待を受けてきた(賄賂づくり)。ところが習近平・中国共産党独裁政権は「黄金の島・マカオ」の財源をすべて「押さえ込む」経済政策を強行しようとしている。

 来年、マカオは「カジノ経営権契約」の更新時期となっている。現在、水面下でこの権利更新をめぐって中国共産党政権の窓口から、どのカジノ運営事業者に対しても「共産党員を経営幹部に入れていただきたい」という打診が行われている(実質、命令)そうだ。断ればどうなるかは明白だ。「お前のところには運営権利更新をさせない」という命令が下るだけで、逆らうことはまず不可能だ。

 では素直に応じればどうなるのか。丸裸にされるだけである。派遣された共産党員の役割は「儲けの仕組み、裏金隠しのテクニックを洗いざらい調べあげる」ことなのだ。「習親分」の目的は「賭博ビジネスの驚異的な儲けの源泉を押さえ尽くす」ことなのである。めざといマカオの華僑の方々が、どうして習親分のたくらみを早めにキャッチできなかったのだろうか。不思議でならない。「俺たち一族は不幸には見舞われない」という楽観的な気分に浸っていたのであろうか。華僑も代替わりして3~4代目になっている。状況の把握が甘くなっているのだろう。

 この5年間、華僑および富裕層がこっそりと現金資産の海外逃亡策を実行してきた。しかし、中国共産党政権は資産移転の方策を十分に研究してきたのだ。中国富裕層が逃げていくのは黙認するが、「丸裸で叩き出す」ことになるだろう。

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