TPPの裏側にある為替条項と外貨準備損失問題
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NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介している。日本のTPP参加が日本にもたらす弊害について「為替条項」から切り込む4月29日のブログを紹介する。
日本の主権を損なうTPPの正体は、強欲大資本の強欲大資本による強欲大資本のための経済統制メカニズムである。
米国を根城とする強欲大資本は、日本市場を強奪するために、日本をTPPに引き入れようとしている。
日本では、安倍晋三自民党が2012年12月の総選挙で、TPPについて、6項目の公約を明示した。TPP交渉参加の判断基準
1 政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
2 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
3 国民皆保険制度を守る。
4 食の安全安心の基準を守る。
5 国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
6 政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。これが、安倍晋三自民党が明示した選挙公約である。そして、安倍晋三自民党は、選挙に際して、
ウソつかない!
TPP断固反対!
ブレない!
日本を耕す!!自民党と大書きしたポスターを貼り巡らせた。
その安倍晋三氏が、選挙から3カ月後の2013年3月15日に、TPP交渉に参加することを表明した。そして、いま、TPP参加に前のめりの姿勢を示している。
しかし、このTPPには、ISD条項が盛り込まれている。ISD条項について、安倍晋三自民党は、「国の主権を損なうようなISD条項は合意しない」と明記したのである。どこが、「ウソつかない!」自民党なのか。このポスター自体が大ウソではないか。民主主義の根本原則を踏みにじる勢力が日本政治を支配している。「世も末」とはこのことを指す。安倍晋三氏が米国議会での「スピーチ券」を購入するために支払った国益は計り知れない。TPP交渉での「全面譲歩」と引き換えに「スピーチ券」を手にしたのだと見られている。「売国行為」と言われて反論のしようがないだろう。
米国議会が大統領に強い権限を付与するTPA法案を可決すると、TPP交渉が妥結に向けて大きく動く。ただし、安倍氏と米国の取引があからさまに表面化しないように、日米の大筋合意のタイミングは先にずらされる。
TPP交渉が妥結して、日本がTPPに参加することになれば、日本国民は取り返しのつかない損失を蒙ることになる。ひと言でいえば、日本社会が米国社会に変質することになる。
米国にあこがれる人がいるかも知れないが、米国社会は決して人々を幸福にする社会ではない。堤美果さんの『沈みゆく大国 アメリカ』(集英社新書)などを読めば、米国の実態がよく分かる。ひとにぎりの富裕層にとっては天国だが、多数の一般国民にとっては地獄である、というのが米国の実態である。病気になったときに、金持ちでなければ十分な医療を受けられない国になる。このTPP交渉が大詰めを迎えるなかで、重大な問題が改めてクローズアップされている。「為替条項」である。この問題が意味するところは極めて大きい。この問題が絡み合って、TPP交渉の妥結が頓挫する可能性もある。
願わくは、この条項が絡んで、TPP妥結が頓挫することが望ましい。※続きは本日の「植草一秀の『知られざる真実』」第1134号「TPPの裏側にある為替条項と外貨準備損失問題」でご購読下さい。
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