くらしと活動を支える設備工事のプロ 「社員第一主義」でいつもいつまでも
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進興設備工業(株) 取締役会長
大野 史朗 氏恩師から受け継いだ「経営者」の心
建物にとって給排水管や空調換気設備は、人体でいえば血管や内臓に相当する、人々の暮らしと活動を支える重要なパーツ。進興設備工業(株)は、マンションから病院、学校、工場まで、あらゆる建物のそうした「内部器官」の設計・施工やメンテナンスを手がける老舗の総合設備業者である。福岡に根ざして70年以上、高品質の施工力で定評があり、近年はISOやSDGsにいち早く取り組む姿勢でも高い評価を得ている。そして、かくも長きにわたり信頼と実績を積み上げてきたその歩みを貫くものは、同社の「社員第一主義」だ。
4代目代表取締役社長を経て、現在は取締役会長として5代目の井手口富彦社長を支えている大野史朗氏は、「会社は社員のもの」という信念に基づき経営にあたってきた。それを教えてくれたのが、先々代社長の舩津政隆氏である。高度成長期にあって、福岡は人口増加とともに同業界の創業ラッシュをみた。同社がある福岡市南区にも多くの「設備屋」がいたが、その後、時代の変化や度重なる不況のあおりを受けて次々姿を消してゆく。同社も経営危機に陥ったが、これを立て直したのが舩津氏だった。
大野氏は舩津氏から仕事に対する姿勢、社運を担う経営者としての心構えなどを学んだ。何より、自身が社長に抜擢されたように「社員が会社をつくること」を。だからこそ、大野氏は代表に就任した時、自身の使命として事業内容の向上と後継者の育成の2点を掲げたのだ。これが同社の経営基盤を堅固ならしめたことは明白である。
会社の利益は社員へ還元
実際、大野氏は就任直後から、後継者候補に現場だけなく管理などさまざまな立場の仕事を任せてきた。自身がそうだったように、次の代表にも会社とは社員であることを学び、経営者としての手腕を磨いてもらうためである。注目すべきは、同じ想いを社員全員が共有できるような仕組みを構築していることだ。
同社は上場してはいないが、毎期の決算公告を自社HPで公開している。それは経営状況をありのままに伝えようという真摯な姿勢の表れでもあるが、なにより全ての株主が同社社員だからである。中小企業の多くは創業一族、もしくは代表が大多数の株を保有することが多い。ところが、同社においては社員が株をもつ。しかるに株式会社は「株主に利益を還元する」もの。つまり、同社にとって利益は(株主でもある)社員に還元するものに他ならないのである。大野氏が財務状況のいっそうの健全化に注力するのも、これが社員の利益につながるからだ。
「今、現場は井手口社長に任せており、私は早々に引退しようと考えているのですが、もう少しいてくれと頼まれておりまして」――照れ気味にそう語る大野氏。社員からの信頼の厚さがうかがえる。「会社が健全であり、社員がある程度の余裕をもって働くことができれば、それは自然とお客様のためにもなります」。恩師、社員、顧客が大野氏を経営者に育ててきた。その心は次の世代にいつまでも引き継がれていくことだろう。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:井手口 富彦
所在地:福岡市南区玉川町4-2
設 立:1959年3月
資本金:5,000万円
TEL:092-551-6883
URL:http://www.shinkoh-s.com/
<プロフィール>
大野 史朗(おおの しろう)
2013年4月に生え抜きの工事部長から4代目・代表取締役に就任した。創業者の的野家そして経営を再建した舩津イズムを実践し、地場でも有数の設備工事業の同社を牽引した。20年4月、井手口富彦氏が代表取締役社長に就任するとともに会長職へ就任し、後継者の育成に励んでいる。法人名
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