2024年10月01日( 火 )

「インベスト・コリア・ウィーク2021」を開催 投資先としての韓国の魅力をアピール(後)

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 2020年の世界の海外直接投資(FDI)は新型コロナウイルス感染拡大などの影響を受け、前年比42%減の8,590億米ドルと激減した。経済の正常化のためにも投資が求められるなか、韓国の今年1~9月のFDI受入額は前年同期比41%増の182億ドルと大きく復調している。韓国において、投資誘致やビジネスマッチングなど対外経済交流を担う組織の1つである大韓貿易投資振興公社(KOTRA)。同公社らが11月に開催した投資誘致活動「インベスト・コリア・ウィーク2021」の様子を報告する。

地域バランスのとれた発展を模索

 「IKW2021」のフォーラムの様子
 「IKW2021」のフォーラムの様子

    今年のテーマは「革新的かつ持続可能な投資先である韓国」。政府の企業支援・投資誘致の担当者、韓国に投資している外資企業の関係者などが登壇した。

 第1部の「革新成長フォーラム」では、グローバルな投資環境の変化、韓国の成長戦略、ポストコロナ時代における韓国の産業の未来像などをテーマに講演や議論が行われた。韓国で事業を行う外資企業、それを支援する経済団体の関係者からは、韓国の投資先としての魅力について、政府が産業の育成・支援に意欲的であること、自治体の優遇政策(ソウルから地方都市への移転など)、多様なエコシステム、自由貿易協定(FTA)の規制に基づく安全な事業環境などを評価する声が聞かれた。

 第2 部の「地域特化産業フォーラム」では、国家均衡発展への戦略と地域特化産業の投資環境、世界における投資環境の変化と韓国の現状などをテーマに講演や議論が行われた。コロナの影響を受け、経済の「正常化」と各国・産業間の「差別化」がキーワードとされており、地域間のバランスのとれた開発を行うことが重要であるとしたうえで、国家レベルでの戦略的産業に革新的な成長をもたらすのかという問題意識が提示された。

 それに対する韓国のアプローチは、イノベーションクラスター、経済自由区域(仁川など7地区に設置)、地域特化型産業の創出により、地域の競争力を強化するとともに地域間のバランスをとるというもの。韓国のシリコンバレー「板橋(パンギョ)テクノバレー」、世宗特別自治市(スマートシティ)、光州市( 人工知能)、釜山市( 半導体)、忠清南道(ディスプレイ部品・素材)、蔚山市(水素産業)などが紹介され、バランスのとれた地域開発が行われている様子が伝えられた。韓国で事業を行う外資企業の関係者からは、半導体産業などで世界的に激しい競争が行われるなか、政府の迅速な支援などを評価する意見が聞かれた。このほか、スタートアップセミナー、1対1の投資誘致商談会なども開催された。

 KOTRAはコロナ禍でさまざまな活動をオンラインに切り替えている。IKW2021は英語放送のアリランテレビと提携し、YouTubeでの再生回数は計100万回以上と好調であり、オンラインによって新たな投資家、顧客とのつながりが生まれているようだ。今後も、オンラインを活用したビジネスマッチングの機会が提供されることに期待したい。

(了)

【茅野 雅弘】

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