メタバースブームのなか、注目集まるVRデバイス(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏各社の動向
Facebookは2014年、VRスタートアップ企業の代表格だった「Oculus(オキュラス)」を20億ドル(約2,230億円)で買収。2019年からVRデバイスの専用プラットフォームである「Horizon」というメタバース的サービスを自前で開発中だ。昨年出荷された「Oculus Quest2(オキュラス・クエスト2」は今年上半期までに約450万台超販売されており、オキュラス・クエストシリーズの市場シェアは75%にも上る。
一時期、市場を両分していたHTCはオキュラスシリーズに押されてシェアをおとしていたが、新型VRグラスであるVIVE Flowを出荷した。VIVE Flowの強みは軽いことで重さは189gに過ぎない。その他、ソニーもプレイステーション5で活用できる新たなVRデバイスの出荷を予定している。サムスンやアップルも急拡大するメタバース市場でシェアを取るべく、VRデバイスの開発を進めているとの噂がある。
VRデバイスのこれまでの課題
VRデバイス市場は期待を集めていたものの、その成長は予想を大きく下回っていた。その間、VRデバイスはどちらかというと、ゲーム分野で主に活用されていた。次世代デバイスとしての期待とは裏腹に、軽量化の問題、高価格、不便な装着感、デバイスを使う時に感じるめまいなどがハードルとなり、成長の足かせとなっていた。
また、ディスプレイが目の近くにあるだけに画面に網の目のようなものが見える現象にユーザーの不満が募っていた。長時間の使用に耐えるようなバッテリー容量の確保とともに、もっと軽量化して装着しやすいようにすることが今後の課題である。
メタバース時代の到来とともに、デバイスの改善に多くのリソースが投入されれば、課題がクリアされる可能性が高くなる。自然な視野を確保するためにVRデバイスには120度の視野角が必要とされる。解像度も4K以上にすることで、網の目が見えるような現象もなくなり、目の疲れを軽減することができるだろう。
予想活用事例と今後の可能性は
メタバースが本当の意味で成功するためには4つの要素が必要とされる。デバイス、ネットワーク、プラットフォーム、ソフトウェア技術である。このなかからどれが抜けていても、メタバースは成り立たない。そのうえにクリエイターがいて、コンテンツをつくることによって始めてユーザーを確保することができる。
メタバースブームとともにVRデバイスにもチャンスが到来したが、市場が成長し続けるには上記の要素は欠かせない。VRデバイスの活用事例としては、トレーニング、外科手術、設計デザインなど、で、何年も前から企業の現場で使われてきたものが挙げられる。そうしたデバイスが今後さらに改善され、より広く使われるようになるものと考えられる。
メタバースは本当に人々が活動する世界になるのか、もう少し様子を見る必要がある。しかし、世界のビッグ・テックはこぞってメタバース市場への参入を宣言し、市場は急拡大している。そのような状況下でメタバースを楽しむ1つのツールとしてVRデバイスに注目が集まるのは当然の流れだろう。
(了)
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