【BIS論壇 No.365】2022年の10大リスク
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は1月6日の記事を紹介。毎年年初にその年の世界の10大リスクを発表している未来予測機関の米「ユーラシア・グループ」(代表 イアン・ブレマー氏)が1月3日、2022年の世界の10大リスクを発表した。同社は1998年にブレマー氏が創設した研究機関で欧米のみならず、日本にも支社をおき、情報収集をしている。
本年の世界政治、経済の動向を理解し、対策を立てるためにも非常に有益ゆえ、2022年の10大リスクについてご参考まで、下記報告する次第である。ご活用願えれば幸甚である。
2022年の10大リスク第一位は中国が目指してきた新型コロナウイルスを完全に封じ込める「ゼロコロナ」政策が失敗し、世界経済が混乱する事態を予測している。
中国のコロナ対策は当初は成功しているように見えたが、感染力の強い変異株「オミクロン株」が天津、とくに陝西省西安に広がり、新年早々厳しい都市封鎖を行っているが、完全な封じ込めは実現不可能だと分析している。だが、中国は「ゼロコロナ」に固執し、サプライ・チェーン(供給網)が混乱し、インフレに拍車がかかり、世界経済は不安定化すると予測している。
リスクの第2位には巨大IT企業の影響力が強まり、経済・社会の支配(テクノポーラーの世界)を挙げている。米国や欧州、中国の各政府は規制強化に動くが、ハイテク企業の投資を止めることはできないとみている。1月4日の日経新聞夕刊は3日の米国株式市場で米アップルの時価総額が3兆ドル(約340兆円)に達し、東証一部の半分に迫ったと驚くべき情報を流した。電気自動車(EV)分野への参入観測で成長期待が高まったとのことだ。
3位には米中間選挙を挙げ、バイデン大統領の支持率低迷で野党共和党が上下両院の過半数を奪還する可能性を指摘。トランプ前大統領が次期大統領選で再選する可能性にも言及。
4位に「中国の内政」問題。5位に「ロシア」、6位に「イラン」、7位に「化石燃料から持続可能エネルギーへの転換にともなう混乱」、8位に「アフガニスタン」などの空白地帯、9位に「文化戦争に敗れる多国籍企業」、10位に「トルコ」を挙げている。
上記から2022年2月の北京での冬季オリンピックで欧米から外交ボイコットされている地政学上も注目すべき「中国」、ウクライナ問題で揺れる「ロシア」、核合意交渉が暗礁に乗り上げている「イラン」、気候変動、環境問題で原発を温存しようとのEU議会の動きに反対を表明しているドイツ、スペインの動向。昨年8月タリバンが復権したアフガニスタン、オミクロンなどコロナで揺れる2022年は日本にとっても、7月の参議院選挙を控え、激動の年ゆえ、世界と日本のインテリジェンス情報収集に努力を傾注することが肝心だ。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)関連キーワード
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