2024年12月24日( 火 )

SDGsどころでない、地球の絶体絶命

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人間の存在は哀れなもの

阿蘇山 噴火 イメージ    人類文明の栄えのスタートは、遡って精々10万年程度である。一方、地球の歴史は40億年近くまで辿ることができる。こんなふうに地球の歴史からすれば新参者にすぎない人類が、なぜここまで繁栄することができたのか。ここへきて「人類が優秀であったからこそだ」などと思いあがる人たちが少なくなってきた。むしろ、何かおかしいと感じるようになった人たちが増加してきている。

 人類の繁栄を支えてきたのは自然だということを忘れてはいけない。人類の帰趨を決定づけるものは、まずは太陽だ。太陽の活動状況に地球は連動する。この10万年間、太陽の活動が非常に安定していたからこそ、つまり人類の存在自身を抹殺させるような凶暴さを露わにしてこなかったからこそ、人類文明の極みが持続しているのである。そこへもって、1000年ぶりとも言われる今回のトンガ海底火山の爆発。陸上爆発であったならば世界の気象に大きな悪影響を与えていたであろう。日本でも、近々南海トラフ大地震や富士山爆発の可能性があると囁かれて久しい。人類の消滅までには至らないであろうが、日本の経済社会が崩壊するほどの危機が到来することは間違いない。

人類の傲慢さが災いの元

 こうした冷厳な事実を忘れて「人類は地球の支配者」と考えるごとき傲慢さが、人類文明の存続を危うくしている。全世界的に起こっている異常な高温化や集中豪雨、狂暴な台風発生といった自然環境の「狂暴化」は、人間が「便利な文明生活」を追及するあまり膨大なCO2を発生させたせいである。つまるところ、人類は自ら己の首を絞めているのだ。自然災害によって受けた痛手を回復させるのに、世界で一体どれほど巨額の資金が必要になることか!財政破綻する国家も必ずや出現する。

 コロナ禍によって、各国で社会習慣・経済活動の変化が余儀なくされた。同時に、これに対処する方法において、各国の国民性の相違が露わとなった。こんにち、社会主義独裁政権、資本主義民主主義政権、後進国独裁政権などと多様な政治体制が登場しているが、資本主義民主主義政権ひとつをとっても国によって個性がある。だが、どの体制にせよ共通することがある。各国万民がそれぞれの統治体制に深い不信を抱くようになったということだ。この際、理想的な統治システムをAIに教えてもらえ!と言いたい。人類の知恵など、その程度なのである。

 その浅はかな人類の頭が欲の塊になると、習近平・中国共産党政権の台湾侵攻の恐れや、ロシア・プーチン政権のウクライナ侵略など、局地戦争のリスクが高まってくる。SDGs(持続可能な開発目標)どころではなくなるのだ。地球を絶体絶命の危機に陥れる。

おわりに~「たまたま幸運に恵まれている」ことに感謝

 以上は、発刊予定の最新刊『九州・福岡の200人の提言』の巻頭文から抜き出したものである。

 15日に南太平洋のトンガ王国で発生した海底火山噴火の威力は驚くべきものだ。九州でも恐ろしい火山噴火の記録がある。9万年前の阿蘇カルデラの噴火により現在の地形が形成された。3万年前の鹿児島湾・姶良カルデラの噴火は現在の錦江湾を形成した。7,300年前の薩摩半島南沖合・鬼界カルデラの噴火については、海底にその凄まじさを物語る地形が残っているといい、もし、この規模の噴火が起これば、鹿児島県は壊滅しかねない。

 我々は「たまたま幸運に恵まれて今日の人類文明の恩恵に浴している」と、謙虚と感謝の念をもつことが重要であろう。

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