2024年09月01日( 日 )

フェイクニュースの次はフェイクフーズ? 世界を駆けめぐる仰天ニュース(前)

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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸

 インターネットの普及とともに、世界中を駆けめぐるようになった「フェイクニュース」。最近では、新型コロナウイルスのワクチン接種に関するフェイクニュースが話題に。情報の真偽を見極めることが困難な時代に突入してきました。

健康長寿大国の日本

 新年早々、うれしい知らせが福岡から届きました。ギネスに世界最高齢として認定されている田中カ子(たなか・かね)さんが1月2日に119歳の誕生日を迎え、記録を更新されたとのこと。

 103歳で大腸がんの手術を経験したものの、117歳まで手押し車を使って歩き回っていたそうです。今では車いすを愛用しているとのことですが、「死ぬ気がせん」が口癖で、大好きなコーラとチョコレートを口にしながら、老人ホームでオセロゲームを楽しむ毎日といいます。最も驚かされたのは、昨年の「東京オリンピック2020」の聖火リレーに、福岡地区の代表として5月に参加することが決まっていたこと。新型コロナウイルスの影響で辞退を余儀なくされましたが、そのバイタリティーや好奇心には世界が注目しています。
 日本でも世界でもオミクロン株で右往左往する人が多いようですが、田中さんのような自然で愉快な生き方をしていれば、免疫力も生命力も向上し、コロナウイルスなども取り付く島もないに違いありません。

アマゾンのベゾス氏、アンチエイジング事業へ投資

SNS フェイク 拡散 イメージ その一方で、世界の大富豪と称される経営者たちは金に糸目を付けないかたちで、延命長寿を手にしようと悪戦苦闘しています。たとえば、アマゾンのジェフ・ベゾス創業会長もその代表格でしょう。昨夏、自身の宇宙開発企業ブルーオリジンが開発した宇宙船に自ら乗り込み、地球周回ツアーを成功させました。そのベゾス氏ですが、これからの宇宙時代を生き抜くためには「延命長寿」が欠かせないと、さまざまなアンチエイジング事業に投資しているのです。

 なかでも、英ケンブリッジ大学でコンピューター・サイエンスと生物学を収め、「SENS」と命名した研究財団を立ち上げたオーブリー・デ・グレイ博士への期待は大きいようです。というのも、シリコンバレーの大富豪仲間を誘って、デ・グレイ氏の研究に潤沢な資金を提供しているからです。

 デ・グレイ氏の研究は「人の細胞をいかに若返らせるか」という1点にフォーカスされています。彼いわく「100万年を生きることは大変だが、1,000年を生きることは十分可能だ」。近い将来、人体の不具合は「ビンテージカー」と同じように、部品交換することで克服できるようなるというわけです。シリコンバレーでは教祖のような存在で、Googleやオラクルの経営トップもぞっこんのようです。

 とはいえ、常識を超えたライフスタイルには疑問や批判も出ています。その最たるものが、研究所で働く女性へのセクハラ疑惑の数々。そうした批判への対応が振るっています。何しろ、多くのガールフレンドと同じ屋根の下で暮らすデ・グレイ氏です。「これから1,000歳まで生きるのだから、結婚制度や一夫一婦制は意味がなくなる」と述べています。

 彼の日常は携帯も車も使わず、運動も一切しないとのこと。田中カ子さんはコーラが手放せないようですが、デ・グレイ氏の場合はビールが「百薬の長」。1時間おきにビールを飲むそうで、それが「頭脳をフル回転させるパワーの源泉だ」と言います。好きな物にはとことんこだわるのが、健康長寿の秘訣かもしれません。

 ところで、世の中、何が本当かわからなくなるほど、新たな「フェイクニュース」が手を変え、品を変え、現れては消えていきます。新型コロナウイルスについても自然界で発生したのか、それとも生物化学兵器として開発されたものが流出したのか、いまだにはっきりしません。

 感染予防の切り札とされるワクチンについても、副反応や既往症を悪化させるリスクがあるとの指摘が後を絶ちません。アメリカではファイザーの元副社長を筆頭に医療従事者といわれる人々が、内部告発的な情報をSNS上で次々と拡散させています。最近では、3回目のブースター接種を勧めるバイデン大統領がメディアを通じて自身が接種する映像を流しましたが、「あれはフェイク映像だ」という反ワクチン派のメッセージが飛び交っています。

 そうした背景もあり、中国とアメリカの間で新型コロナウイルスの発生源をめぐる争いが経済制裁に発展し、新冷戦と呼ばれるまでの緊張関係にあります。トランプ前大統領が流行らせた「武漢ウイルス」や「チャイナ・ウイルス」という言葉も相まって、アメリカ人の脳裏には「中国=危険」という発想が埋め込まれたようです。もともと、習近平氏とは副大統領のころから親密な関係を築き上げ、息子のハンター・バイデン氏も中国ビジネスに深く関わっていたバイデン大統領ですが、対中強硬姿勢を見せなければ支持が得られない状況に追い込まれています。

 要は、世論を味方につけるため、各国政府も指導者たちも、自分たちに都合の良いかたちにニュースを加工して流すことが当たり前になっているわけです。十分に注意していても、ニュースの真偽を見極めることは至難の業になってきました。

(つづく)

浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
 国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。最新刊は19年10月に出版された『未来の大国:2030年、世界地図が塗り替わる』(祥伝社新書)。2100年までの未来年表も組み込まれており、大きな話題となっている。最新刊は『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』(祥伝社新書)。

(後)

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