日本変革図を描く(1)
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(株)APIコンサルタンツ 松本 洋 氏
新しい時代を切り拓く経営者を輩出していくには、どうすればいいのか。20年前、日本で最初に東京で光ファイバー網を100キロ引いて通信革命を起こし、間接材のEコマースビジネスを最初に手がけるなど、新規市場の創出の最前線に携わってきた経験をもち、100社以上の企業へのコンサルタントやM&Aを手がける(株)APIコンサルタンツ代表取締役・松本洋氏に聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス代表取締役・児玉直)組織のマインドを変える
──数多くの会社を立ち上げて経営してきた経験から、今後、企業へのコンサルティングをどう進化させていくべきだと考えていますか。
松本洋(以下、松本) まず、企業風土と社員のマインドを変えることが大切です。部下が期待通りに動かず、努力が足りないから成果がでないという「他責」の考え方では、企業は成長しません。上司は何か問題が起きても他人の責任にせず、「自分が何をしたら解決できるか」「どのように働きかけたらよいか」という「自責」の考え方をもち、チームで動くことで成果を見出すことができます。
本来、いい仕事をしたいと考えている社員が大半ですから、足を引っ張らずに部下の長所を見つけて、全員が納得・理解して力を発揮できる環境をつくることが上司の仕事です。私はこれまで4社の企業をゼロから立ち上げ、2社は500億円以上の売上に成長しています。ベンチャー企業を軌道に乗せることに成功した経験から、社員が自分で考えて問題を改善する組織を創らならなければ会社は成長しないと断言できます。
優れたリーダーは言われたことだけをやる部下を育てるのではなく、部下の成長を促します。当社のコンサルティングでは、考え方を押し付けずに、本人が自分の頭で考え、納得して行動するようにコーチングします。そうすると根本的な認識が変わり、自ら行動して成果を出すようになります。人は説得されても動かず、自分で納得しない限りは行動しません。
問題の解決を図るには、以下の5つの壁を突破することが必要です。1.固定概念や思い込みに囚われる「認識の壁」
2.変化を恐れる「行動の壁」
3.すべきことがわからない「知識の壁」
4.個人の資質に過大依存した「仕組みの壁」
5.あきらめや他責による「態度の壁」現場全員が活発に議論し、大きな目標を決めて計画を立て、日々の目標値を決め、PDCAサイクル(※)を回します。今日できなかったことをどう達成すべきかについて毎日やり取りすると、上司は部下の問題を把握できます。現場の意見が目標に反映されると、部下もやる気が出ます。
リモートワークが進み、中間管理職の役割が見直されるなか、管理職は部下全員とコミュニケーションを取り、悩みをしっかりと把握し、コーチをすることが必要です。変化する主体はあくまでも社員、とくにマネジメント層であり、“関係者全員が積極的に参加する”ことこそが成功の鍵なのです。
(つづく)
【文・構成/石井 ゆかり】
※:計画、実行、評価、改善を繰り返して、管理業務や品質管理を継続的に改善する方法。 ^
<COMPANY INFORMATION>
代 表:松本 洋
所在地:東京都港区白金台5-22-12 前田道路白金ビル4F
設 立:2011年8月
資本金:4,000万円
TEL:03-6277-3730
URL:https://www.api-c.co.jp
<プロフィール>
松本 洋(まつもと ひろし)
1951年生まれ。APIコンサルタンツ(株)代表取締役社長。東京大学法学部卒業。米国コロンビア大学MBAおよび法学修士取得。日本鋼管(現・JFEスチール)の米子会社ナショナル・スチールを上席副社長(COO)として再建し、通信革命を起こしたKVHテレコムや間接材コストの削減をEコマースで手がけるアルファーパーチェスを創業、代表取締役を歴任。米・企業再建コンサルのアリックス・パートナーズ日本代表や米国の6兆円ファンドであるアドベント・インターナショナルの日本代表に就任。主な著書に『なぜ、誰もあなたの思い通りに動いてくれないのか』(ダイヤモンド社)、『他責病にサヨナラ』(エムオン・エンタテインメント)。関連キーワード
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