地域活性化のために力を尽くす 九州アスティーダに込めた思い(前)
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(株)グリーンクロス
代表取締役社長 久保 孝二 氏
九州アスティーダ(株)
代表取締役社長 川面 創 氏近年、オリンピックや世界大会で数々の輝かしい功績を残し、盛り上がりを見せる卓球界。2021年4月、九州に全国で5番目となる卓球の女子プロチームが発足した。その名は「九州アスティーダ」。メインスポンサーとして、福岡市に本社を置く(株)グリーンクロスが抜擢された。2つの組織はどのように出会い、何に惹かれ合ったのか。九州アスティーダ(株)代表取締役社長・川面創氏と(株)グリーンクロス代表取締役社長・久保孝二氏に話を聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)九州に卓球のプロチームを
──九州にTリーグの拠点を置くまでの経緯を教えてください。
川面創氏(以下、川面) 私はもともと卓球の指導者として立命館大学卓球部の監督をしていました。2018年10月にTリーグ、いわゆる卓球のプロリーグが始まりました。Tリーグに参戦する女子チームは神奈川・大阪・愛知にある4チームのみで、発足以降3年間は新チームの参入がありませんでした。私は以前、20年に予定されていた東京オリンピック後に卓球ブームが再熱すると思い、当時卓球の女子プロチームがまだなかった九州でチームを発足させようと考えました。この考えが明確化した経緯には、福岡県、卓球協会としても九州にチームをつくりたかったという思いがあったこと、また沖縄を拠点として活動する卓球の男子プロチーム「琉球アスティーダ」の存在があったことが挙げられます。
九州はほかの4チームの拠点から遠く離れているため、私にとって大きな挑戦でしたが、21年4月のチーム発足から現在、久保社長をはじめとし、多くのファンが応援してくれるチームになりつつあります。また、現時点で女子チームは8つにまで増えることが決まっています。日本の卓球界は日々成長を遂げており、卓球は今後ますます注目すべきスポーツになると確信しています。
──九州アスティーダの名前の由来は何でしょうか。
川面 アスティーダは「明日、未来」を意味する「アス」と、沖縄の方言で「太陽」を意味する「ていだ」が組み合わさった言葉で、「明日に向かう、明日は日が昇る」という意味が込められています。琉球アスティーダのオーナーの早川周作さんに、私が女子卓球チームを発足させたい意思を伝えたところ、熱烈に応援してくれました。九州アスティーダは、早川さんの「アスティーダという言葉を多くの人に知ってほしい」という思いを受け止めて発足させたものであり、現在、早川さんには当社の株主として経営に関わっていただいてもいます。
──九州のTリーグ参入について、どのようなビジョンで進めていこうと考えていますか。
川面 現在は新型コロナウイルス感染症の影響で海外にいる選手を募ることは実現できていませんが、落ち着いたら近隣の台湾・韓国から選手を誘致し、世界に通用するような若手選手を育成していきたいと思っています。「九州」を背負ったチームとして、地域に貢献できる企業であるためには、まず強いチームをつくることが必要不可欠です。オリンピックを目指す人材を九州から排出し、「九州アスティーダと戦いたい!」と多くの方々に思っていただけるようなチームづくりに努めます。
つなげたのは熱い思い
──お2人はどういった経緯で出会い、現在に至ったのですか。
川面 知人の紹介を経て、初めて久保(孝二)社長とお会いしたのは21年9月であり、11月初頭にはスポンサー契約を締結していただきました。ほぼ即決に近いかたちで、私も驚いたほどです。アスリート社員の雇用を実現している久保社長の第一印象は「スポーツにとても関心のある人なのだろう」というものでした。久保社長と接する機会が増えるにつれて、(株)グリーンクロスがとてもアットホームな会社であること、スピーディーな対応をしていただいていること、事業内容が多岐にわたっていることなどさまざまな面に惹かれ、「一緒に歩んでいける会社はきっとここだ」と確信し、アプローチをかけました。スポンサーになっていただいてからは、当社の横断幕、ポスター、名刺などを手がけていただいています。
──久保社長にはスポンサーなどの話が多く寄せられていると思いますが、九州アスティーダのメインスポンサーとなった決め手は何だったのですか。
久保孝二氏(以下、久保) まず、当社が21年7月に設立50周年を迎えたことがあります。新しい分野に挑戦することで「会社が変わっていく」というイメージを社員にもってもらいたいと考えたのです。また、「タイミング」も良く、ちょうど新社屋への移転をはじめ、会社を大きく刷新したいと考えているときに川面社長と出会ったのです。私自身はスポーツについて詳しいわけではないのですが、川面社長の話を聞いていくなかで熱意を感じ、九州のTリーグ初参戦に関わりたいと思うようになりました。当社に関わる多くの方々と協議を重ねた結果、メインスポンサーとして九州アスティーダを応援していく運びとなりました。九州アスティーダが世界に周知されることにより、社員たちの士気向上、当社への誇りなども生まれてくることを期待しています。
──Jリーグなどでも資金の問題は常に付きまとっている状況で、スポーツチームのマネジメントは大変だと聞きます。九州アスティーダは、どのように収益を上げていくお考えですか。
川面 日本の女子Tリーグは、「木下アビエル神奈川」「トップおとめピンポンズ名古屋」「日本生命レッドエルフ」「日本ペイントマレッツ」と九州アスティーダの5チームです。この各チームの名前からわかるように、我々以外はスポンサー企業名をチーム名に入れた実業団で、クラブチームとして活動しているのは九州アスティーダのみです。経営母体が付いていない分、ほかのチームよりも資金調達が難しいことは覚悟しています。そこで、コツコツと九州各地の企業さまに信頼を得てもらえるようなチームづくり、また九州各地域に根差したイベントの開催などを行い、「九州全体で盛り上げているチーム」として名を馳せていきたいと考えています。
(つづく)
【文・構成:立野 夏海】
<試合の開催情報>
・2月6日午後2時 北九州市立総合体育館
九州アスティーダVS日本生命レッドエルフ
・2月19日午後2時 田川市総合体育館
九州アスティーダVS日本生命レッドエルフ
・2月20日午後2時 田川市総合体育館
九州アスティーダVS木下アビエル神奈川チケット発売中
※dTV、Amazon Primeでも無料配信中
<COMPANY INFORMATION>
(株)グリーンクロス
代 表:久保 孝二
所在地:福岡市中央区笹丘1-17-29
設 立:1971年7月
資本金:6億9,726万円九州アスティーダ(株)
代 表:川面 創
所在地:福岡市中央区天神2-3-36
設 立:2021年4月
資本金:100万円
久保 孝二(くぼ こうじ)
1971年2月生まれ、長崎県出身。89年に大阪教育大学中退。98年7月(株)グリーンクロス長崎支社に営業として入社。2000年8月久留米支社長代理、04年5月営業開発次長、05年5月執行役員営業開発部長、08年7月取締役などを歴任。11年4月代表取締役社長に就任。川面 創(かわつら はじめ)
1976年5月生まれ、三重県出身。99年に立命館大学を卒業後、実業団・百五銀行で選手としてプレーした経験をもつ。2004年に立命館大学女子卓球部の監督となったのち、21年に九州アスティーダ(株)の代表取締役社長兼監督に就任。法人名
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