ハウステンボス創業者・故神近義邦氏の自伝出版 環境と経済の両立を目指した男が残したメッセージ
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大型リゾート施設「ハウステンボス」(長崎県佐世保市)の創業者で、2020年9月に逝去した神近義邦氏の自伝『シーボーンキングダム―千年の時を刻む―』が出版された。
神近氏は1942年生まれ、長崎県西海市西彼町出身。西彼町の役場職員として農業関連の業務を行っていたが、成り行きで東京・永田町の高級料亭の再建に取り組む。その過程で財界人との知遇を得ていった。この間訪れたオランダの国づくりに感動し、エコロジーとエコノミーの共存を実現する環境未来都市という夢を描くと、各方面の協力を取り付け総投資額2,400億円強のハウステンボス開園を成し遂げた。
生前、神近氏は自身が書き留めた膨大な量の日誌やメモの編纂に取り組んでいたが、長崎県がIR(統合型リゾート)誘致をハウステンボス内に目指していることを知り、日蘭の架け橋が解体されることを懸念して筆をとった。後に神近氏はハウステンボスのコンセプトが継続された誘致活動であることを確認して安堵するが、深刻化する地球環境の変化に警鐘を鳴らし、「エコロジーとエコノミーの共存」の理念普及に向け執筆を進めた。道半ばだったが、神近氏が代表取締役会長を務めていた(株)エコ研究所が編纂作業を続行し、出版を実現した。
2部構成の本書は第1部では料亭の再建を請け負い、そこで後に支援を得ることになる政財界の要人たちの知己を得る様子や、79年のオランダ訪問の際に知った人々が長い時間をかけて行っている自然と調和した国づくりなどが記されている。第2部は長崎バイオパーク、長崎オランダ村の設立を経て、日本興業銀行(当時)の融資やオランダの協力を受け、92年にハウステンボスをオープンさせる経緯などが書かれている。
神近氏のおいで現(株)エコ研究所の代表取締役・石橋卓弥氏は「神近は経営者というより理想家としての性格が強かったように思うが、幼少期から持っていた地球環境に対する危機感は本物であったと思う。神近の理念の一端でも伝えることができればうれしい」と語る。上場企業を含む複数の企業が神近氏の「突破する力」の源泉や「プロジェクトの具現化」を学ぶために社員教育用に購入しているというが、なかには読後「自分の出身学校に寄贈したい」という声も複数出ているという。1冊3,575円(税込)。書籍の申し込み、問い合わせは以下まで。
【鹿島 譲二】
<申し込み・問い合わせ先>
(株)エコ研究所
TEL:0956-58-6658
FAX:0956-20-2301
E-mail:eco21@gaea.ocn.ne.jp
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