中国の環境問題~「3060ダブルカーボン」について
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は3月27日の記事No. 373「中国の環境問題」を紹介する。長年、国際アジア共同体学会などにおいて指導していただいている周瑋生立命館大学教授のリーダーシップで26日、『日中国交正常化50周年記念講座・第1回 中国の「3060」目標の実現と日中協力』がZoomで開催された。主催団体の1つであるBISからも10名近くの有志が参加し、積極的な意見交換を行った。
周教授については、2019年9月には、同教授を団長として浙江省浦江県における環境研究ミッションが実現しており、BISから7名が参加させてもらい、環境保護、ごみ処理、食品、農産物輸出、技術提携の可能性などをめぐり意見交換を行ったことがある。
浦江県は中国国内でも有名な茶葉やクリスタル製品などの産地であり、かつ2000年前に同国最初の米作が行われた土地と言われており、当時のもみ殻や土器を収納した博物館を見学して感銘を受けた。日本の弥生時代のコメ栽培や長野県茅野市の縄文博物館との関連性も想起し、文化面でも交流を深めたいと思ったことがある。
オンライン講座に話を戻す。総合司会は仲上健一立命館大学名誉教授。
主催団体の1つである関志浩西日本中国企業連合会会長・中国工商銀行大阪支店長の開会あいさつに続き、周教授の「中国の3060目標の課題」、李志東長岡技術科学大学教授の「中国の電動自動車戦略と日中協力」、杉田定大早稲田大学特任教授(元経済産業省大臣官房審議官)の「炭素中立と日中産業協力」の各テーマで講座が行われた。中国の環境問題への意欲的かつ積極的な対応について改めて強い感銘を受けた。周教授は都市・農村連携による環境問題への対処、国際都市連携、多国間連携、東アジア環境連盟、とくに日中協力の必要性を強調した。中国はCO2排出量について「2030年にピークに達し、60年代にゼロ」とすることを目指している。そのための新エネ、再生エネ技術開発、さらに植林、大気CO2回収などに関して意欲的な提言を行った。また、そのために燃料転換、産業改善、人口抑制、生活改革およびエネルギー構造の転換を進めることを提言した。
李教授は、中国が電気自動車(EV)製造で世界の先頭を走っており、20年のEV生産は200万台を超え、世界の50%を占め、輸出はEU向けが22万台、アジア向けが22万台に達しており、電池の開発で日本と協力する可能性があることにも言及した。
杉田教授は、日本は2030年、カーボンニュートラル46%、50年にゼロを目指すためには産業構造転換、再生エネ推進、水素システム、燃料電池の開発などが必須だと強調した。
中国が環境問題をめぐり意欲的な対応を行っているのに比し、日本は出遅れており、このままでは、ICT革命や、DXに遅れた二の舞を演ずるのではないかと危惧される。EVを含む環境分野での日中韓の協力が必須だと痛感させられた有益なZoom講座だった。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)関連キーワード
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