2024年11月05日( 火 )

現代の経営は根幹・根源が問われる~安成工務店・CSV経営に学ぶ(2)

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バラバラを選ぶのか、イギリス国民

uk_eu かつて、「未来の戦争を食い止め、経済共同体のメリットを生かしてヨーロッパを一体化する」という崇高な理念の下に、『EU』が結成された。だが、月日が流れ、EU各国の庶民たちの生活苦・格差が顕著になった。その不満の高まりは、『EU離脱』という危うい状態を惹起させた。だからと言って、イギリス国民が「己の命運は自分たちで決める」という宣言したことを批判する資格はない。自分たちの生存権を高らかに宣言することは正しい。願わくば、「あらゆる情報を集めて分析して、理性ある判断をした結果であれば…」と、老婆心ながら心配するのである。

 だが、イギリス国民の1~2%の枠内の差で、『離脱決定』がなされたに過ぎない。ロンドン住民の主流は、『離脱反対』で占められている。若者たちは『離脱反対』を叫んだ(EU内を自由に飛び回った経験を踏まえている)。一方、成人労働者・老人は『離脱』の強い意思表明を行った。まさしく世代間の対立は、激突の様相を呈している。だから些細な動きで、『離脱反対』方向に流れがチェンジする可能性も残されているのだ。

 さらに問題を複雑にしているのは、スコットランドの存在である。スコットランドは、以前からイギリスからの独立を唱えていた。この独立派は、『EU帰属』の立場にあった。「イングランドの配下は耐えられないが、EU帰属は賛成」という理屈には、遠くに住んでいる日本人には理解し難いものだ。どうであれ、イギリスが『EU離脱』を選択したら、今度はスコットランド、ウェールズ、北アイルランドの独立の運動が強まってくることは、イギリスにとって痛し痒しである。『グレートブリテン及び北アイルランド連合王国』の近代国家形成の根幹をばらすことにもなりかねない。ここにきて永遠のテーマ『民族自決』によって、イギリスは4カ国に分離してしまうのか!!(連邦制の道もあるが)。
 所得格差が歴然とされる経済・政治格差のなかで、ただ一点、『飯が食えない』という動機で、社会・経済・国家体制に『否・ノー』を突きつけられる、根源・根幹を問われる時代なのである。

(つづく)

 
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