「建設業=受注型営業」脱却目指し、新団体設立へ
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YASUNARIグループ
「待ち」の営業が主流の建築業界。山口県下関市に本社を構える(株)安成工務店の代表取締役社長・安成信次氏は、自社のブランド構築の過程のなかで理想的な建設業の姿、つまり「待ち」から「攻め」に転換し、業績を拡大してきた。安成氏はこれまで培ってきた経験を基に、業界構造を変えるべく新団体を設立した。
40年以上のデザインビルド実績
(株)安成工務店は1951年1月に、安成信良氏が安成組を創業したのが始まり。先代である信良氏の「正直に仕事をしていたら、仕事はある」という信念を2代目となる現代表取締役社長・安成信次氏は引き継ぎ、実績を重ねてきた。
同社は84年に本社を豊北町から下関市に移転し、「環境と住まいをトータルに提案します」とキャッチコピーを掲げた。当時は、景観環境を考えた住まいとまちづくりを目指すという視点のみだったが、「OMソーラーシステム」を考案した東京芸大名誉教授・奥村昭雄先生(故人)と出会ったことで、環境共生住宅を追求する道を歩み始めた。94年には、セルロースファイバー断熱のデコスドライ工法を自社開発。環境と共生する建設業の在り方を深く考えるようになったという。
現在、同社を中核とする「YASUNARIグループ」は、持株会社1社、住宅・建設会社6社、住宅リフォーム会社1社、断熱材製造販売1社、地盤調査1社、介護事業者1社、不動産1社、商業施設管理運営1社の計13社で構成。環境と共生する建設業の在り方に沿った事業を展開すべく、これまでの「待ち」の受注型営業から、企画・開発・設計・施工・管理までをトータルに提案する「創注型建設業」を目指し、デザインビルド方式を基本とした建設事業を40年以上研鑽し、実践してきた。
(株)安成工務店
代 表:安成 信次
設 立:1951年1月
所在地:山口県下関市綾羅木本町3-7-1
資本金:7,200万円
売上高:(21/12)98億6,400万円グループの中核企業。1996年より第三セクターの林業会社(株)トライ・ウッド(大分県日田市(旧・上津村))と直接取引契約を結び、良質な木材仕入れのもと高級木造住宅「環境共生住宅パッシブハウス」を主に手がけている。高い設計技術と建設技術、良質な素材から生み出す木造住宅は、機能性とデザイン性が高く評価されている。
(株)オークス建設
代 表:岡田 圭三
設 立:1973年1月
所在地:福岡市博多区山王2-1-16
資本金:5,000万円
売上高:(21/12)30億1,850万円福岡地区においてマンション建築建設から省エネ住宅、貸しビル、ビル・マンションリフォームなど幅広く手がける総合建設業。YASUNARIグループが持つ環境共生技術や広範囲な土地活用ノウハウを生かすことで、従来の都心部における土地活用に加え、デザイナーズ戸建借家ユニキューブをはじめとする小規模土地活用提案を行っている。
(株)デコス
代 表:安成 信次
設 立:1974年8月
所在地:山口県下関市菊川町田部155-7
資本金:3,000万円
売上高:(20/12)10億8,128万円(株)安成工務店の不動産部門として設立された。現在は自社独自の製法を基にセルロースファイバー断熱材の販売を主に行っている。グループの木造建築の根幹を支えており、その良質な商品は、マエダハウス(株)(鹿児島)や納得住宅工房(株)(静岡)などからも高い評価を得ている。
「新・建設業 地方創生研究会」設立
安成氏は、福岡地所(株)が開発した物件から強いインスピレーションを受けたと語る。福岡地所はこれまで、宗像コモン、百道のマンション、マリノアシティ、パークプレイス大分、キャナルシティなど、その地区を代表する住宅建築や商業施設などを企画・設計から手がけてきた。安成氏は、「手でモノをつくる人たちが社会から評価されず、労せずお金を儲けることが良しとされる今の社会の在り方は間違っている」とし、建設業の社会的評価の向上を目指している。同社は商業開発や医療開発にも着手し、現在は21haの土地を事業用借地し、120件を超える大型商業店舗の建設および管理・運営を行っている。
そうしたなか安成氏は3月3日、「新・建設業 地方創生研究会」(以下、研究会)を設立した。同研究会は、これまで同社が培ってきた企画・提案型の営業経験を基に、全国の建設会社に向けて、受注業態から脱して企画提案型建設業への構造転換を促していくための場づくりを目的としている。売上高20億円以上の全国の地域ゼネコンを対象に会員を募集し、月1回の情報共有定例会や、3カ月に1回のPFI研修部会の定例会のほか、土地活用部会の適時開催などを予定としている。
今回の研究会設立について、安成氏は「あるべき社会を実現するために、事業の方向性と同じベクトルの上に置くことができれば、建設業は社会にもっと尊敬され必要な業態になれる」とコメント。建設業の社会的地位が上がることで、「業界内の労働者や職人たちももっと誇りをもって仕事することができるようになる」と、意欲を示している。
【麓 由哉】
法人名
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