現代の経営は根幹・根源が問われる~安成工務店・CSV経営に学ぶ(3)
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“儲けて何が悪い”では済まない、経営哲学が求められる時代
イギリス国民が築き上げてきた国家体制を根幹から問い直すように、経営の世界でも根源的な捉え返しが進行している。どの優秀な経営者の誰でもが「経営とは、利益をたくさん出して社員たちに給料を高く支給することが目的である」と語る。要は「儲けることに関して何が悪いか!!」という従来の価値観を主張しているのである。
ところが、「営利追及至上主義一辺倒の経営では、現代社会においては許されません」という主張が広まり始めた。根底には「経営は私的なものではない、公的なものである」という思想が流れている。企業活動は、公的貢献が不可欠であるという哲学なのである。
大手企業にとって、企業のCSR(=企業の社会的責任)は常識化されてきた。さらに発展して「CSV」という概念が広まっている。わかりやすく言うと、CSVとは共有価値創造のことである。「経済価値と社会価値の向上」をコンセプトとし、「製品・サービス、バリューチェーン、地域コミュニティ」の3点の再定義を手法とする概念である。つまり、企業がビジネスモデルの端々を見直し、収益性を確保しながらも社会的価値を生み出していこうというものだ。あなたもよくご存知の、ソーシャルビジネス的視点が含まれている概念となるものである。企業は儲けるほどに、社会的な尊厳も高める必要があるという経営哲学なのだ。CSVに対する安成工務店の姿勢
詳細は後述するが、安成工務店グループ(本社:山口県下関市、安成信次代表)のCSVに対する姿勢を紹介してみよう。資料はCSV REPORT 2016(安成工務店グループCSVレポートより)。
●私たちが目指す「あるべき社会の姿」は……。
近年科学技術は進化し、特にITの進化がもたらした情報革命は人の暮らしを大きく変え、あらゆる価値を最大化しつつあります。建築・住宅の分野のハードとしてより品質の高い化学建材が進化し、あらたなテクスチャーが生まれています。ソフトとしては電気とエネルギーをITによってコントロールし、エネルギーを消費しない暮らしも実現しようとしています。
私たちはそれらを否定しません。ただ、建材にはできるだけ自然素材を多用することで地域の山林資源の循環を守り、手で加工する職人の技術や機能を守って行きたいと考えています。それらを両立することで、全国画一的な住まいではなく地域の街並みを再構築し、手で仕事をする職種の誇りを取り戻し、新たな社会秩序の構築を目標としたいと考えています。数十年前のコミュニティにあふれた社会を新たに取り戻す…。
「懐かしい未来」、ヘレナ・ノーバーク=ホッジさんの提唱した概念に近い、地域の工務店でしか作れない家づくりや街づくりを目指していく。これが安成工務店グループの目指す「あるべき社会の姿」です。(つづく)
法人名
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