2024年11月21日( 木 )

れいわがカジノをめぐり維新批判

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 れいわ新選組がカジノ問題においても野党第一党と同等以上の存在感を示している。カジノの大阪誘致の是非を問う住民投票の署名活動が3月25日に始まった。翌26日、れいわ新選組は「一か八か、カジノで大儲け!あなたは賛成?反対?」と銘打った街頭演説を大阪駅前で行い、山本太郎代表と「維新キラー」こと大石晃子衆院議員、八幡愛・参院選大阪選挙区予定候補がそろい踏み。維新の目玉政策であるカジノの大阪誘致を徹底批判しながら、住民投票を求める署名も呼びかけたのだ。

(左から)大石議員、八幡候補、山本代表
(左から)大石議員、八幡候補、山本代表

 2020年11月に大阪都構想の住民投票否決に貢献したときに匹敵するほどの“全力投球”。当時も山本代表は大阪に長期滞在してゲリラ街宣を繰り返し、問題点を分かりやすく解説する動画も制作(20年11月13日のNetIB-News「都構想否決!維新の牙城・関西で増す存在感 山本太郎・れいわ新選組代表」で紹介)。今回もカジノ大阪誘致のウソを暴くショート動画をつくって、モニターで流していたのだ。

 維新代表の松井一郎・大阪市長が「違うんですよ。IRに公金を投入しません」と叫ぶ場面から始まり、続いて「夢洲整備費総額1,500億円超 大阪市が試算」と銘打った今年2月のニュースを紹介。「大阪市はカジノの建設地の整備に公金788億円が必要だと試算」と内容を説明したうえで、「予定地全体では2,697億円を使うようです」と補足していた。

 ここで、大阪府知事の吉村洋文・維新副代表による問題発言、「民営事業ですから公でお金を出すものではありません。勘違いされていると思いますが」も紹介。“維新ツートップ”の嘘を浮き彫りにしたうえで、山本代表が再びマイクを握って「公金たっぷり投入しているやんというお話です」と一刀両断、こう続けた。

 「住民投票、賛成反対、一緒に考えていきませんかというプレゼンをさせていただいています。賛成の人も反対の人も、意思を示せる場をつくろうやというお気持ちがある方、署名にご協力をいただきたいのです」

 街宣場所のすぐ隣には署名可能なテントが設置され、その場所も山本代表は説明。そして、「このまま大阪府民がカジノ問題に興味をもたなければ、2,697億円以上の公金投入の恐れあり」と訴えながら、署名を呼びかけていたのだ。

 カジノ(IR)予定地は、大阪湾の人工島「夢洲」。廃棄物を使って埋め立てたことから「ゴミの島」とも呼ばれる。当然、地盤が軟弱で、地震により液状化する恐れがあり、有害物質の無害化も必要となる。地盤強化などで公金を投入せざる得なくなったのはこのためだ。しかも今後、さらに膨らむ恐れがあるという。山本代表はこう続けていた。

 「(カジノ事業者の)MGMに撤退されないためにどんどんお金を投入していく。当然、しわ寄せがいくのは皆さんの行政サービスが削減されていくことにつながっていく。だからカジノ賛成でも反対でもどちらでもいい。ただ、その意思を示せるような場をみんなでつくりませんか。大阪府民でつくりませんか。IRカジノ住民投票ということで、皆さまの署名を募っております」

署名    住民投票条例制定を知事に請求するのに必要な署名数は、有権者の50分の1(14万6,479人)。有効な署名数がこれを上回れば、吉村知事は議会を招集、意見を添えて条例案を提出することになるのだ。
 一方、立憲民主党も同日に大阪府連大会を開いて、泉健太代表が駆け付けて挨拶をした。そこで府連大会後の会見で私が「住民投票を求める署名集めの現場で街頭演説を泉代表がするとか、シンポジウムや集会を開く考えがあるのか。野党全体として連携して取り組むのに格好のテーマではないかと思うが、野党合同ヒアリングでカジノIR問題を取り上げる考えはないのか」と聞くと、泉代表はこう答えた。

 「野党全体でやるのかどうかというのは、今後、引き続き、検討はしていきたいと思います」

 しかも泉代表は、府連大会の前後でカジノ反対の街宣をすることはなく、代わりに大阪駅前で同じ時間帯にウクライナ難民への募金活動をした。地元の記者は呆れた。

 「この時期に大阪にきてカジノの街宣をせずに、ウクライナ難民への募金活動をしたのは政治的センスが悪すぎる。維新との対決姿勢が決定的に欠けている」

 現時点では野党第一党の存在感は希薄のままとしか言いようがないが、今後、れいわ新選組の発信力や戦闘力を見習って、立憲民主党が野党陣営をリードするような存在になるのか否かが注目される。

【ジャーナリスト/横田 一】

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