【脊振の自然に魅せられて】山は花のトンネル
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脊振山系は、4月に入ると、まるで春を待ちわびていたかのように一斉に花の開花が始まる。脊振山系における春の花の代表といえば、コバノミツバツツジとツクシシャクナゲである。毎年、この季節になるとこの花たちに会えるのでワクワクする。
自然環境が厳しい山地では、花は毎年同じようには咲かない。花が多い年もあれば、少ない年もある。だから「今年はどうだろう」と思い、山に行く。コバノミツバツツジとツクシシャクナゲは4、5年に一度、たくさんの花をつける(毎年咲くが、少ししか咲かない年もある)。
今年は4月29日に山開きを予定していたが、天気予報によると降水確率90%と、あいにくの雨予報だったため、27日に早良区役所と協議して、やむを得ず中止することにした。悪天候による開催中止は、これで2度目となる。中止を早良区役所のホームページ、脊振の自然を愛する会、SNSで告知。また、念のために開催前日の28日に金山(967m)登山口にある5カ所の道標に山開きの開催中止の旨を告知した。
作業を終え、車で金山脊振林道を利用し、脊振山駐車場へ向かった。林道を走ること30分、脊振山頂駐車場に着いた。時刻は午前10時頃だった。山頂駐車場は風もなく、青空が広がっていた。駐車場の下にあるキャンプ場には2つのテントが張られていたので、「明日は雨ですよ」と声をかけたところ「日帰りします」との返事があった。
ここから金山山頂方面にある気象レーダーから、展望の良い「唐人の舞」まで九州自然歩道を歩いてみることにした。登山道は木々が芽吹いて新緑となり、甲高い鳥のさえずりが響きわたっていた。
5分も歩くとブナ林となる。新緑のブナの巨木に目をむけながら動画撮影をする。そばにあった盛りをすぎたムシカリが、白い花を登山道に落としていた。ブナのなかの木道を歩き、自衛隊基地に続く林道を横切って気象台専用道路に入る。道路脇から少し奥、笹藪のなかのブナの巨木に目を向けた。するとピンクの花が目に飛び込んできた。巨木の側でコバノミツバツツジが鮮やかな花を咲かせていたのだ。見渡すとブナの周りに5、6本あり、どの木も満開で、見事にピンクの花を咲かせていた。
笹をかき分け、ブナの近くでカメラを構え、感動を覚えつつ撮影する。ウグイスのさえずりが、一層この場の雰囲気を盛り上げてくれる。私だけが味わえる最高の場所だった。
撮影を終え、林道を気象レーダー方面へ歩いた。この林道の左右は、種々の樹木の花が楽しめる自然観察コースとなっている。コバノミツバツツジに続き、純白の花、ムシカリが咲いていないか左右に目をやる。いつもの場所のムシカリは盛りが過ぎていた。日当たりのいい場所を好むムシカリは開花が早かったようだ。ここから5分歩いた日陰の場所に白い花の姿が眼に飛び込んできた。ムシカリだ。まだ花は純白のままだった。爽やかな風に花を揺らせていたムシカリに「ありがとう」と声をかける。まるで、筆者が来るのを待っていたかのようだった。
ここから林道を10分ほど歩き、再び登山道に入る。少し進むと登山道の左右は鮮やかなコバノミツバツツジの林となっていた。林の奥にも、たくさんのピンクの花が鮮やかに咲いていた。動画もカメラ撮影もやめ、このすばらしい光景をしばらく楽しむことにした。小鳥の声が一層、この場の雰囲気を盛り上げる。この場にいるのは筆者だけ、実に贅沢な時間であった。
さらに縦走路を進むと登山道の左右は、コバノミツバツツジが咲き乱れ、花のトンネルとなっており、今まで歩いた登山道のなかで最も美しかった。この日の目的地である見晴らしの良い高台の「唐人の舞」まで花のトンネルは続いていた。
唐人の舞で少し休み、大きな岩に登り、脊振山から博多湾、金山方面まで見渡した。昔、渡来した唐人が生まれ故郷に思いを馳せたというのが「唐人の舞」の由来である。静かな山で花に囲まれ至福の時間を過ごすことができた。ここから少し歩き、博多湾が一望できるビューポイントまで足をのばして撮影を行い、駐車場に引き返した。
この日の山歩きは、贅沢な自身へのプレゼントとなった。翌29日の山歩きが開催されていたら参加者はどんなに喜んだことだろう。だが、29日は予報通りの大雨、開催中止は賢明な判断だったと自身に言い聞かせることにした。
2022年5月11日
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行関連キーワード
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