【清々しい品格(4)】人のために、社会のために
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シーエススチール(株)
代表取締役会長 松原 照明 氏有言実行の男
松原照明氏についてはNetIB-Newsでたびたび報じているが、このシリーズにふさわしい人物として、改めてスポットを当ててみたい。
4月1日、「設立30年を記念して社長交代の誓詞」を行った。この催しを知らされたのは1年前のこと。筆者に「2022年4月1日を空けておいてほしい。30周年の祝いと社長交代式典を行う」と告げた。いつものことだが、非常に緻密に計画を練り上げ、有言実行する男である。
松原氏は筆者よりも10歳若い1957年生まれ。しかし、事業を起こしたのは92年で、経営者としては筆者の2年先輩にあたる。松原家との付き合いは同氏の父上にまで遡る。75年6月からである。「4月1日の記念式に参加した方々のなかで、身内を除けば一番付き合いが古いはず」と自負しながら、おいしいワインを堪能させてもらった。
事業を起こす経営者たちがまず発する言葉は、「売上をいくら上げて、利益をいくら上げてみせる」というものだ。ところが、松原氏から事業欲の話を一度も聞いたことがない。「お客さんから必要とされる鉄鋼加工の工法に磨きをかけることに専念する。このビジネスの過程で、社員さんたちが職場で生気溢れる生きがいを保てる環境整備に尽くしたい」と淡々と語る姿勢に清々しさを感じたものである。
経営者として2年後輩にあたる筆者も松原氏から非常に強い感銘を受けた者の1人だ。ただ、当方は清々しさを身に付けることができなかった。今でも情報収集に貪欲であり、最前線に立っていて、品がない奴と自覚している。
蓄積した経験を社外へも
松原氏とはさまざまな経営研修会でたびたび遭遇した。氏の真面目に、ひたむきに集中して勉強する姿勢に感服したものだ。その勉強の集大成として、95年(3期目)から社内事業研修会を開催しており、その持続力には感服する。経営理念に関する勉強の集大成が著書『浸透する経営理念』の発刊であった。彼の胸中には、自身が研鑽し蓄積した経営理念に関する経験と知識を自社で活用するだけでなく、友人知人の企業経営にも役立ててもらいたいという使命感が燃えていたに違いない。
所属する福岡中小企業家同友会でも、仲間たちへの「経営理念」の助言役を買って出た。さまざまなセミナー研修会で、「経営者たちのためになれば助言していこう」と一心不乱に没頭する姿を見て、松原会長の周囲には私淑するメンバーが増えていった。
「ボスになろう」という我欲でもなく、「貢献してビジネスにつなげる」という魂胆もない。邂逅できた人たちの役に立ちたいという奉仕の精神が、自然と定着しているのであろう。
松原氏は「2代目社長の育成期間を2年」と宣言している。本人があと2年で枯れるわけではない。2年後以降の活動を見て、「さすが松原照明さんだ」と誰もが感服するであろう。何をするのかを筆者は知っているが、ここでは語らない。
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