2024年07月16日( 火 )

老化防止と細胞活性化の切り札「複合脂質」

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

健康管理の要は「細胞の活性化」

豆類 イメージ    私たちの体は約60兆個の細胞でできている。人体は、たくさんの細胞がひとかたまりになって成り立っているので、健康を論じる際、細胞は避けて通れない。すなわち、健康管理のために最も肝心なのは細胞が健康かどうかである。

 細胞にもいろいろな種類があるが、細胞がどれほど健康であるかによって、その人の健康状態が把握できる。細胞は1つ1つ、表面が膜で覆われており、細胞膜の状態が、細胞の活性度に影響してくる。細胞膜は外敵の侵入を防いだり、細胞に必要な栄養分などを取り入れたりする役割があるので、細胞膜がどれほどうまく機能しているかは、細胞の健康だけでなく、人体の健康にも大きな影響をおよぼす。

 細胞膜を構成している主成分は「リン脂質」である。私たちの生活環境下には、この細胞膜に害を与えるものが数多く存在しており、それによって細胞が痛んだりすることがある。細胞が損傷を受けると、炎症が引き起こされたり、痛みをともなう症状が発生したりするなどのシグナルを発し、体に異常があることを知らせてくれる。

 損傷細胞が増えていくことによって生じる現象としては、人体が老化したり、疾病を患ったり、痛みを感じたりすることが挙げられる。また、細胞膜に損傷を引き起こす要因としては、活性酸素、過酸化水素、酸化ストレス、加工食品などの食べ物、環境汚染によるウイルス、放射線などが挙げられる。

 人は年を取るにつれて、損傷細胞が増えていくので、その結果として老化したり、体の不具合が発生したりするわけだ。しかし、人体には細胞が損傷を受けた際に修復させたり、細胞を管理したりする仕組みも備わっている。そのような損傷細胞の修復に必要なものは何かというと「リン脂質」である。人体は普段の食べ物から、天然の「リン脂質」を摂取している。豆やブロッコリー、卵などを食べると、「リン脂質」が肝臓に届けられる。肝臓で合成・分化された「リン脂質」は、細胞膜を修復させる材料として使われる。しかし、このように食べ物から取り入れられる「リン脂質」は細胞修復に必要な量の20%しか得られない。損傷細胞の残りの80%は「リン脂質」が供給されず、修復できないのだ。また、食べ物から得られる「リン脂質」は、肝臓で合成・分化するのに時間もかかる。

 このような課題に目をつけ、米国では体外で「リン脂質」を合成、分化させ、人体に入って細胞膜の修復活動にすぐ活用できるようにする研究が行われた。37年間、この分野について研究者数人が研究を重ね、ついに開発に成功した。その研究に参加していたメンバーの1人が韓国人で、彼は数年前に韓国に帰国し、細胞膜の修復に必要な「リン脂質」を含んだ「複合脂質」を韓国で大量生産することに成功している。

 

 3大栄養素の1つである脂質には、中性脂肪、リン脂質、ステロイドなどがある。中性脂肪はエネルギーの保存に、リン脂質は細胞膜の構成成分、そしてエネルギー源として活用される。そのリン脂質にさまざまな物質を加えたのが複合脂質である。

 放射線防護剤は、放射線が皮膚や消化器官から消化されたり、組織に沈着したりするのを防止する。また、放射線治療において放射線の働きを最適化する際にも利用される。

 飛行機の乗組員、原発で仕事をしている人、半導体工場などで働く人たちは、被ばくに神経を尖らせており、実際、その被害について報道されることもある。しかし、被ばくしても被害を最小化できる防護剤があまり存在しないのが現実である。

 防護剤市場は巨大で、世界的に需要があるといい、日本の大学でも防護剤開発のためにいろいろな研究が行われているそうだ。

 「複合脂質」は人間だけでなく、動物、魚などにも有効だという。動物には濃度の薄いものを、また養殖魚の餌の添加物としても活用できるという。

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