2024年11月22日( 金 )

山口FGの再建を“真剣”に考える(1)

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山口フィナンシャルグループ     山口フィナンシャルグループ(FG)は総資産12兆円を超える国内有数の地方銀行グループである。直近の株価も700円台で推移しており、他行と比べても低い水準ではなく、経営危機とは無縁のように思われる。たしかに、今日、明日で事業を継続できなくなるということはないだろう。

 しかし、長年にわたって山口FGを取材してきたNetIB-Newsは、山口FGが「緩やかな崩壊」へと進んでいると確信している。原因は1つではないが、この銀行に根付くカルチャーに根本的な問題があるように感じる。それは保守的で変革への意識が乏しく、他力本願で当事者意識が稀薄という文化である。それが社内・行内の権力者の動向ばかりを気にかけ、結果として独裁者を生んできた要因ではないかと思われる。それは、内向的な社風・行風や、顧客への配慮に欠けた態度とも無関係ではないと推察される。

 最近の取材では、社外取締役の暴走により取締役会が機能不全となっており、ガバナンスに大いに問題があることが発覚した。また、クーデターを起こした後も戦略がなく、粛清人事に熱心になっていることも明らかとなった。ここ数年の事業の失敗は解任された前会長だけの問題ではなく、このような役員連中が会社を差配してきたことも要因だろう。

 NetIB-Newsは、山口FG関係者に取材を行ってきた過程で、過去に採用されなかった施策案をヒアリングすることができた。また、真剣に山口FGの将来について思い悩む現役社員・行員の方が改革案を提示してくれることもあった。それらを再構成し、山口FGの再建案として提言していきたい。

役員総入替を断行

 最初に断行するべきは、取締役の全員入替だ。山口FGは前会長の解任という前代未聞のクーデターにより、全国に失態を晒してしまった。これは取締役会に先立って前会長を取締役として選任した株主総会を冒涜したといっても過言ではない。クーデター首謀者は当然のことながら、クーデターに賛成した取締役も株主を軽視したといえよう。株主の意思を示し、全員退任させることが望ましい。

 現在の取締役監査等委員は社内1名、社外2名で構成されている。内部告発により、この3人はクーデター首謀者であることが明白である。社外の2名は78歳と高齢であり、年齢構成のバランスも良くない。金融情勢に精通した新進気鋭の弁護士等の起用を行うべきだろう。率先してクーデターを行うというのは、監査等委員に求められる役割とは異なるように思われる。現在は、社内の監査等委員が山口FGの実権を握っていると言われており、事実であれば歪な構造である。この3人はガバナンスにも問題があり、退任させるべきだ。

 ほかの取締役も、山口FG取引先との兼任者が含まれており、利益相反の問題があるといえる。独立した立場が求められる社外取締役は、融資先や提携先、大口取引先以外から選任すべきである。少なくとも、山口県内の大口融資先U社、システム販売の提携先M社を兼務する取締役の再任は、絶対に許されない。

 執行役員の人選にも問題がある。クーデター後、社内監査等委員の側近が次々と昇格しており、恣意的な人事が行われたことは明白だ。また、クーデター後に女性執行役員が皆無となっており、世の中の流れに逆行している。公平性の観点から人選を見直し、社外や女性の登用により多様化を図るべきではないだろうか。

 とくに、執行役員に関しては社外からの登用を積極的に実施する。できれば、その管下の部長級も社外から招聘するべきだろう。山口FGでは相次いでパワハラ問題が指摘されており、コーポレートガバナンスが機能不全に陥っていることが明らかとなった。もはや、自浄作用に期待することは難しく、外部人材の登用によって劇的に変革を進めるべきだろう。また、営業施策も他行に後れをとっており、営業企画を行う部門でも執行役員や部長級を外部から招くことを検討すべきだ。大手メガバンクやネット銀行、フィンテック企業に2年程度の出向を依頼してもよいのではないか。

 新たな取締役会メンバーの最大の役割は、外部から招いた人材の「心理的安全」を保障することである。山口FGでは中途採用した人材の多くが会社を去っている。異業種での経験を期待して採用しておきながら、山口FG特有の文化を押し付けられ、貴重な経験を発揮する機会を与えられないことも多いようだ。執拗ないじめが行われ、心を病んで会社を去ったという例も少なくないという。貴重な経験を有する中途採用人材がとどまることのできる風土であれば、一連の問題は防止できたかもしれない。その点で、現在の取締役メンバーは職務怠慢であったといえる。新たな体制では、外部から人材を招くと同時に、その立場を取締役が保障することが重要である。

 山口FGの皆様!今後も貴社の不平・不満、内部情報など、どしどしお寄せください。お待ちしています。

(つづく)

【特別取材班】

 

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