2024年11月22日( 金 )

山口FGの再建を“真剣”に考える(2)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

助成金に頼らないビジネスの確立を

オフィス イメージ    山口フィナンシャルグループ(FG)のグループ会社には、行政からの助成金に頼っている会社が数社あるという。典型的なものはYMFG ZONEプラニング(YMZOP)だ。

 現在の山口FG社長はYMZOP社長としての実績が評価され、抜擢されたとされている。しかし、実態は行政からの受注がほとんどであり、いわば税金の横流しでビジネスが成り立っているようだ。この会社だけでなく、クラウドファンディングや人材紹介事業でも行政からの助成が行われているという。

 これでは地方創生を口実とした私企業の支援である。地元の有力銀行のプライドがあるのであれば、自ら率先して地域経済を潤していくべきだ。自らが起こした事業に責任をもち、利益を出すことで納税し、地域社会に還元していくことが本来の役割だ。税金を受け取る側でなく、自らの事業で税金を支払う側にならなければ存在意義はあるまい。

取引先を大事にする文化の醸成を

 最近、ある経営者から奇妙な話を聞いた。山口FGからの転籍を受け入れると、人材紹介に対する手数料を払わなければいけないという。これまでも、銀行OBを転籍者として受け入れるということは一般的に行われてきたはずだ。どうして手数料が必要になったのかと不思議に思っていたが、現在は山口FGが設立した人材紹介会社、YMキャリアを通じての紹介になったということのようだ。

 自社グループの転籍者を受け入れてもらうために、手数料を取るとはあきれた話である。融資先に対してお願いするものであり、銀行側が人件費の一部を負担するくらいの誠意があってしかるべきだろう。金融庁や中国財務局も、このような銀行の立場の優位性を利用した人材紹介は厳しく取り締まるべきである。そもそも、ほとんどの天下りの受け入れは、融資先が積極的に望んでいるものではない。銀行からの転籍者に大した能力は期待できず、銀行融資のための上納金として給与を払っているようなものである。

▼おすすめ記事
山口FGの吉村会長解任劇を検証する(前)

 取引先の企業を成長させるという意識に乏しく、自分たちの財布としか考えていないような銀行に存在意義はない。山口FGは意識を改革し、取引先を大事にすることで地域を発展させていく方針を明確に示すべきだ。そうしなければ、取引先の離反は静かに進んでいくだろう。

事業として成り立たない会社を明確にする

 今年3月、事業に失敗したワイエムツーリズムの清算が公表された。山口FGが調査報告書で、多額の損失があるわけではないと抗弁していた企業である。もはや、言っていることがチグハグで、何を信じてよいのかもわからない状況だ。説明責任が果たされておらず、上場企業としてあるまじきことだろう。

 ほかにも、地域商社、農業、福利厚生代行、クラウドファンディング、データ・コンサルティングと次々と事業を立ち上げたが、うまくいっているものは少ないという。このような事業は銀行員の経験だけでできるものではないと思うのだが、外部から人材を登用することもしていないそうだ。そのようなやり方で事業が立ち上がるはずがないだろう。

採算の見込みが立たない会社は大胆に整理すべきだ。残す会社にしても、外部から人材を登用するなど、今後の計画を示すことが必要だ。

(つづく)

【特別取材班】

(1)
(3)

関連キーワード

関連記事