2024年11月23日( 土 )

基本理念を再徹底、時代の変化に適応し前進を続ける(中)

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(株)ウチヤマホールディングス
代表取締役社長 山本 武博 氏

 ウチヤマグループは、1971年6月に創業者の内山文治氏が内山ビル(株)(現・(株)ボナー)を設立して以降、介護(97施設)、カラオケ(83店)、飲食(11店)を展開するなど業容を拡大。昨年、設立50周年を迎えた。(株)ウチヤマホールディングス代表取締役社長・山本武博氏に今後の展開などを聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役社長 児玉 直) 

インドネシアから介護人材を受け入れ

 ──人材確保は業界全体が抱える課題ですね。 

 山本 さわやか倶楽部では、インドネシアに合弁会社「PT.Sawayaka Fujindo Indonesia」を18年7月に設立。インドネシアの首都ジャカルタに全寮制の学校を開設し、日本語教育を行っています。そこでの実習を終えた方々は、技能実習生やインターンシップ、なたは特定技能外国人として来日して、さわやか倶楽部の施設で働いてもらうのですが、コロナ禍の影響で来日がかなわず、1年半インドネシアに足止めされた人もいます。 

 このたび、水際対策が緩和されたことで、ようやく入国することができましたので、今年の4月7日に特定技能の在留資格をもつ36人の入社セレモニーを行いました。福岡県内の施設に配属となる20人は本社でセレモニーに参加し、ほかの地域に配属された16人はリモートでの参加です。さわやか倶楽部では今年3月にも技能実習生23人が入国しており、国内での講習を経て5月から全国の介護施設で実習を行っています。ちなみに、ホームシックにならないように必ず1施設に複数人を配属するようにしています。 

4月7日に行われた歓迎セレモニー
4月7日に行われた歓迎セレモニー

 我々はコロナ前からインドネシアの人材を受け入れていますので、彼女たちの特徴については熟知しています。最大の長所はとにかく明るく、コミュニケーション能力に長けている点ですね。入居者さまだけでなく、日本人職員との関係も良好で、彼女たちが入社してくれたことで施設の雰囲気が、より一層明るくなったと感じています。 

 また、日本で介護技術を学んで自分の両親、祖父母の面倒を見たい人、ゆくゆくは母国の介護施設で働きたいという希望をもっている人が多いこともあり、皆さん非常に真面目で勉強熱心です。我々が彼女たちに介護人材として期待している部分と、彼女たちの「日本で学びたい」というニーズがうまくマッチしていると感じます。ノウハウを蓄積して、ゆくゆくは彼女たちをほかの企業に紹介するようなビジネスにも着手していけたらと考えています。 
 インドネシアからきた社員は、介護を学ぶのと同時に日本語を習得したいと考える人が多いのですが、そうした外国人社員に対して入居者の方々がコミュニケーションの一環として日本語を教えてくれています。日本の文化や歴史などについても教え、彼女たちもそれに熱心に聞き入っています。入居者さまにとっては教えることで、「人の役に立っている、施設の役に立っている」という充実感が得られるというお話をいただけますし、外国人社員たちは日本の言葉や文化などを学べるため、双方にとってメリットが大きいのではないでしょうか。

開設ペースを加速、放課後等デイサービス

 ──今後はどのような方向性で、拡大路線に舵を切っていくのでしょうか。

 山本 高齢者向けの介護施設を年間5施設のペースで新規開設するというスタンスは、今後も変わらず続けていく予定です。今年度から新たにスタートした中期経営計画では、既存の介護事業に加えてその周辺サービスの需要を開拓してビジネス化し、新たな成長の軸を作っていくことを戦略の中心に据えています。介護施設はすでに北海道から九州まで全国展開していますので、各拠点のコミュニティーにパッケージごと提供することができれば、新たな収益源の創出が可能になると思っています。 

 また、障がい者支援事業として、障がいを持つ生徒・児童を対象とした放課後等デイサービス「さわやか愛の家」を主に展開しています。6歳から18歳までの障がいをお持ちのお子さまを対象とした通所支援事業で、放課後やお休みの日にお子さまの個性や発達段階に応じたサポートを行っています。現在、全国で23施設、福岡県では最多となる13施設を開設しており、おかげさまで運営は順調です。これまでは年間4~5カ所の新規開設をしていましたが、今期からは年間10カ所開設する予定です。近年はさまざまな自治体から「うちの地域にも施設を開設してもらえないか」とのご要望をいただいており、そのご要望にお応えするためにも開設のペースを速めることにしたわけです。 

 ──介護部門とともにグループの柱となっているカラオケ部門や飲食部門は、コロナの影響が大きかったのでは?

(株)ウチヤマホールディングス
代表取締役社長
山本 武博 氏

 山本 飲食店は多いときには20カ所超で運営していましたが、現在の運営店舗は11店。とくに当社は、居酒屋やハイボールバーなど主にアルコールを提供する店舗が大半を占めるため、コロナの影響をまともに受けるかたちとなりました。タイにも和食居酒屋を展開していましたが、やはりコロナの影響でまともな営業ができなくなったために残念ながら撤退し、現在は国内の店舗運営に集中しています。 

 カラオケ店舗もコロナの影響を大きく受けましたが、今後、コロナ禍前のように集客を回復させることは可能であると考えています。実際に、郊外のロードサイドにある店舗に関しては客足が戻ってきているのですが、繁華街立地の店舗はまだまだといったところです。要因としては、企業などが緊急事態宣言解除後も飲み会を自粛したり、テレワークの継続などで需要が少なくなっていたりすることが大きいと感じています。以前であれば、繁華街の店舗は会社員の2次会需要が多かったのですが、そもそも1次会が少なくなっています。しかし、確実に回復の兆しは見えてきていますので、今後は新規出店の再開も検討していくつもりです。カラオケ事業は比較的利益率が高いビジネスですし、集客さえともなえば、十分採算が取れる事業です。

(つづく)

【文・構成:新貝 竜也】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:山本 武博
所在地:北九州市小倉北区熊本2-10-10
設 立:2006年10月
資本金:22億2,293万5,560円
売上高:(22/3連結)249億5,800万円
URL:http://www.uchiyama-gr.jp/


<PROFILE>
山本 武博
(やまもと・たけひろ) 
1971年生まれ、山口県出身。北九州大学(現・北九州市立大学)卒後、94年に㈲サイトウ(現・(株)ボナー)入社。ボナー専務、(株)ウチヤマホールディングス代表取締役専務、(株)さわやか倶楽部代表取締役専務などを経て、2021年4月にウチヤマホールディングスとさわやか倶楽部の代表取締役社長に就任。

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