【コロナ禍を越えて(8)】長尾治療院にお客が戻る
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唐津にある長尾治療院(院長・長尾良一氏)は病院から見捨てられた病人・老人の最後の救済の砦であった。西洋がん治療ではお手上げ状態の方が、最終的にこの治療院に藁にもすがる必死の思いで駆け込んだ。5年間も延命されている実例がある。
立ち上がれない老人の例。病院から「もうお歳ですから無理です」と通告された。しかし、納得できない。紹介者から長尾院長にたどり着いた。不思議なことに、この老人は3回の治療で奇跡的に立ち上がることができた。この患者は「神様、仏様、長尾先生」という心境になる。
ところがだ。コロナ禍になって2年半。患者さんが治療にくることを自粛するようになった。3分の1減少した。長尾院長は「もし治療をストップしたならば、患者さんが命を失うケースが増えるであろう」と懸念した。案の定、顧客であった老人たちが天寿されたことを数多く耳にした。「コロナめ!許さないぞ」とたびたび悔しい涙を流したものである。
耐えれば、辛抱すれば、春は必ず訪れる。この1カ月、お客や患者さんが戻ってくるようになった。治療で忙しくなってきた。「コロナ退治は私が引き受ける」と長尾院長にも生気が蘇ってきた。
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